研究課題/領域番号 |
17K13742
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
西立野 修平 関西学院大学, 総合政策学部, 准教授 (20734007)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 新規参入 / サプライヤー組合 |
研究実績の概要 |
2017年度の課題は、(1)分析に用いるパネルデータを構築し、(2)初期分析を開始することであった。(1)については、計画通り、データセットの作成を完了することができた。研究実施計画では、アイアールシー「自動車部品200品目の生産流通調査」を利用し、既存のデータセット(2002年、2008年)に、1990年、1996年、2014年のデータを追加すると記した。実際には、さらに1993年、1999年、2005年、2010年、2012年、2016年のデータを加え、データ基盤を強化した。データセットの拡張は、予定していた3ヵ年の追加では、サンプル数が不十分であり、精度の高い統計分析を遂行することが困難であるという理由で行った。(2)についても、計画通りに初期分析に着手することができた。主に、研究課題の一つである "Suppliers' association and duration of new transaction: Evidence from Japanese automobile industry"について分析を進めた。分析には、(1)で構築した取引レベルのパネルデータ(1990年ー2016年)を使用した。部品サプライヤーを、サプライヤー組合の会員(Treatment)と非会員(Control)にわけ、treatment-effects for survival-time outcomesを推計した。現段階では、組合員による新規の取引は、非組合員と比較して、約9年長く継続するという結果が得られた。この分析結果は、組合に加入すると、自動車メーカやその他のサプライヤーから技術や知識の伝播を享受することが可能になり、そのサプライヤーのパフォーマンスが向上すると解釈できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年度の課題は、(1)分析に用いるパネルデータを構築し、(2)初期分析を開始することであった。研究実績の概要で書いたように、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、研究課題"Suppliers' association and duration of new transaction: Evidence from Japanese automobile industry"については、統計分析の精度を高める必要がある。「識別問題」に対する考察、結果の頑健性、treatment effectsの異質性に関して重点的に分析を進める予定である。加えて、先行研究との関連と政策的含意について考察を深めていく予定である。もう一つの研究課題「参入と市場構造の関係」についても、順次研究を開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実施計画では、アイアールシー「自動車部品200品目の生産流通調査」を利用し、既存のデータセット(2002年、2008年)に、1990年、1996年、2014年のデータを追加すると記した。しかし、予定していた3ヵ年の追加のみでは、サンプル数が不十分であり、精度の高い統計分析を遂行することが困難と判断した。そこで、予定していた3ヵ年に加え、1993年、1999年、2005年、2010年、2012年、2016年のデータを購入した。次年度使用額が生じた理由は、追加のデータ購入費用とそれに付随するデータクリニーング費用を賄う為に前倒し請求を行った際、少し余裕を見て請求金額を設定した為である。次年度使用額は、書籍の購入費用にあてる予定である。
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