本研究の目的は、長期のパネルデータ(1990年―2014年)を構築し、企業による参入と市場構造の関係及び参入後の生存期間とその決定要因を検証することである。今年度は、課題3「参入後の生存期間とその決定要因に関するCox's proportional-Hazardsモデルを用いた分析」への取り組みを行った。実証分析の結果、サプライヤー組合に所属する自動車部品企業の取引期間は、組合に所属していない企業の取引期間と比べて、4年長いことが分かった。この実証分析をさらに深めるため、(1)分析結果の頑健性と(2)参入形態の影響を検証した。(1)については、まず、サンプルを自動車メーカー別と部品の種類別に分け分析結果に対するSensitivity Analysisを行った。次に、いくつかの先行研究で用いられている被説明変数(例:参入率(参入の総数/既存の企業数)×100)を使用し、分析結果が変化するか確認した。(2)については、取引形態を考慮するため、市場レベルから取引レベルの被説明変数に変更して分析を行った。ここでの参入に関する変数は、2値変数(新しい取引=1、既存の取引=0)とした。以上の、実証分析の結果を踏まえて、ワーキングペーパーの執筆を開始した。今後は、論文を書き上げ、学会発表および査読誌へ投稿する予定である。
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