| 研究課題/領域番号 |
17K13743
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| 研究機関 | 独立行政法人経済産業研究所 |
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研究代表者 |
近藤 恵介 独立行政法人経済産業研究所, 研究グループ, 上席研究員 (70734010)
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| 研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 通勤 / 移住 / 人口移動 / 構造推定 / 重力方程式 / 効用 / 反実仮想 |
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| 研究実績の概要 |
本研究は、私たちの生活と密接に関係のある通勤の観点から、日本が抱える都市・地域の問題を解明し、研究成果に基づいた政策提言を行っていくことを目標としている。本研究の特徴は、通勤における男女間の負担の違いに着目した実証分析を行っている点にある。例えば、通勤の経路も距離も同じであれば誰もが同じ負担を感じるように思えるが、実際に感じる負担は必ずしも同じではない。また、同一人物であっても独身時と婚姻時では、通勤から感じる負担が変化しうる。結婚し子供を持つことによって、これまで行っていた通勤がより重荷になってくることが考えられる。その際、どのような男女差が生じているのかを本研究において明らかにしている。
本研究では心理的な負担も含めた通勤の全体的な負担を経済学の効用という概念に基づいて量的な効果を議論している。通勤によって生じる負担を比較するには，人々の通勤に対する選好を正確に知る必要があるが、このような選好は直接観測できない点に分析上の難しさがある。そこで本研究では、構造推定という経済学の分析アプローチによって解決している。つまり、個人の通勤選択を効用最大化問題としてモデル化することで、通勤に関する選好パラメータを属性別にデータから推定することが可能になっている。この推定された構造パラメータが結婚前後や子供を持つ前後でどのように変化しているのかを調べることで、通勤から生じる負担を定量的に復元し、比較検証を行っている。
2020年度はこれまでの研究成果を英語論文として執筆し、国際学会において報告を行った。論文の質を改善するうえで重要な批判をいただくことができ、学術雑誌への投稿準備を進めている段階である。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初計画していた調査票情報を用いた分析については、当初予期していなかった事情もあり、十分な研究時間を確保することができず、研究成果を2020年度中にまとめることができなかった。補助事業期間の延長申請を行い、当初の計画を遂行できるよう、今年度は十分な研究時間を確保し、準備を進めている。
また、研究成果の報告の場として国際学会を考えていたが、新型コロナウイルスの影響もあり、研究報告の機会が一部に限られてしまった。今年度は1件のみであったが国際学会にオンラインで参加し、研究報告を行った。論文の質の改善につながるような貴重なコメントをいただくことができ、論文の改訂も最終段階であり、現在は論文の投稿に向けて準備を進めている。全体の進捗状況に遅れはあるものの、既に執筆している論文は当初計画していた以上により高い水準になったと感じている。
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| 今後の研究の推進方策 |
これまで執筆した論文を学術雑誌に投稿し、掲載を目指す。また当初計画していた期間内に一部の研究成果をまとめることができなかったため、補助事業期間を1年延長した。2021年度は十分な研究時間を確保できるよう準備を進め、研究計画も改めて整理しており、必要なデータ分析を進め、論文を完成させる予定である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
（理由）参加を予定していた国際学会での研究報告が当初予期していなかった事情によりできなかったため。また論文の執筆に遅れが出ているため。
（使用計画）今後英語での論文執筆を計画しており、英文校正費用としての支出を考えている。今後の新型コロナウイルスの動向にもよるが、国際学会での研究報告の出張費用としての支出を考えている。
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