国際課税制度は多国籍企業の様々な事業活動に影響を与える。本研究は企業の節税に着目し、日本と米国の多国籍企業の利益移転行動を実証的に分析した。分析の結果、日本の多国籍企業の海外子会社の利益移転の程度は、米国の多国籍企業の海外子会社と比較して、平均的には小さいことが分かった。無形資産集約的な子会社および大規模子会社は他の子会社と比べて利益移転を活発に行っていることが示された。さらに、2009年度税制改正における国際課税制度の変更(国外所得免除方式への移行)に反応して、日本の多国籍企業の海外子会社の利益移転が一時的に活発化したことを示唆する結果が得られた。
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