研究課題/領域番号 |
17K13750
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
橋本 由紀 (長澤由紀) 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (30707675)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 外国人労働者 / 外国人雇用 / 生産性 / 企業業績 |
研究実績の概要 |
本研究は、複数の政府統計のマッチングによって企業レベルデータを構築し、外国人雇用と企業業績・雇用戦略の関係を明らかにすること,長期時系列データを用いて,日本人国外就労者と、外国人も含む国内就労者の人的資本を比較し、労働者の流出入の両面から日本の労働市場の質の変化を評価することを予定している。2017年度は,特に企業に関する研究について,政府統計の申請とマッチング作業を行った。データ提供までに時間を要することが見込まれたので,並行して,外国人労働者に関する統計と労働市場へのインパクトに関する論文のレビューを主に行った。その成果は,下記の書籍の1章として公刊された。 神林龍・橋本由紀(2017)「移民・外国人労働者のインパクト―研究動向と日本におけるデータ―」川口大司編『日本の労働市場―経済学者の視点―』有斐閣,pp.182-213 さらに,データの調査項目と先行研究を踏まえて,実証仮説(「雇用の多様性を進める企業は生産性が高い」「外国人高技能人材を活用する企業は,賃金の伸び率が高い」「日本国内での就労の期待便益が小さい高技能女性ほど海外で就労する確率が高い」など)を検討した。ただし,国外で就労する日本人の分析については,予定していたデータが利用できないことが判明したことから,代替的な分析として,別の個票データを探すか,アンケート結果を実施するか,集計データを用いた分析とするかを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
企業分析は,政府統計の申請準備と手続きに時間がかかり,提供が予定よりも大きく遅れた。さらに,入手したデータのマッチング作業も難航し,年度内に分析作業まで進めることができなかった。国外で就労する日本人の分析についても,予定していたデータが利用できないことが判明し,研究の方向性を含め再検討を余儀なくされた。そこで,2017年度は,外国人労働者に関する統計と労働市場へのインパクトに関する論文のレビューを主に行った。
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今後の研究の推進方策 |
企業データの分析については,引き続きデータのマッチング作業を進めて,速やかに分析に入る。推定方法を検討し,結果の方向性が定まった段階で,論文を執筆する。国外で就労する日本人の研究については,データの利用可能性の観点から,検証仮説を再検討する。地域レベルの分析や,海外就労経験者に対象を変更した分析も考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度は,統計データ提供の遅れによって分析を十分に進められなかった。そのため,当初予定していた分析用PCの購入や学会への出席を行わなかった。
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