先行研究では、経営者個人のリスク回避度が原因で、企業がリスクを増加させる行動をとらなくなると指摘されてきた。しかし、これらの研究ではリスク回避度を計測しておらず、このメカニズムの十分な検証はなされてこなかった。本研究ではアンケート調査を行うことで経営者のリスク回避度を直接的に計測し、経営者のリスク回避度が高いほど、企業はリスクを増加させる行動をとらなくなるのか、また、報酬体系によって、その影響を軽減することができるのかを検証した。その結果、CFOのリスク回避度が高ければ相対的に投資水準が低くなること、そして、凸型ペイオフの報酬体系を導入することで、この影響は緩和されることが明らかになった。
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