研究課題/領域番号 |
17K13765
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
田中 孝憲 関西大学, 商学部, 准教授 (50587285)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 信用格付け / 格付会社 / 証券市場 / イベント・スタディ |
研究実績の概要 |
3年間の研究期間の初年度である2017年度は、本研究課題に関連した先行研究のサーベイを行った。その結果、主に以下の事柄が明らかになった。まず、アメリカの債券市場における機関投資家はアメリカの格付会社であるMoody’sとStandard&Poorsに対して、異なった評価をしていることがわかった (Livingston et al., 2010)。特に、Standard&Poorsの格付けよりもMoody’sの格付けをより重要視しているようである。次に、アメリカの格付会社と日本の格付会社の間でも、投資家の評価が異なることがわかった。Han et al. (2012)は、アメリカの格付会社から格付けを取得している日本企業の方が日本の格付会社から格付けを取得している企業よりも日本の債券市場において低い利回りを要求されることを見つけた。一般的に、アメリカの格付会社の方が日本格付会社よりも日本企業に相対的に低い格付けを付与している。投資家はアメリカの格付会社の方が企業の信用力の審査に対してより厳密に評価していると判断し、アメリカの格付会社から格付けを取得している企業は低い利回りを要求されていると考えられる。 他にも数多くの先行研究は存在するが、研究課題に関する先行研究を網羅的に調べ、既存の理論モデルやデータ分析結果から検証すべき複数の仮説を導出した。また、学術的な研究だけではなく、実際の事例を集め学術的な議論との関連性も検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画では、分析に必要なデータを購入し、実証分析を行う予定であった。しかし、既存研究の整理に時間がかかり、分析を行うことができなかった。2018年度からは2017年度の遅れを取り戻すつもりで、研究を進めたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は、導出した仮説の妥当性を実証分析によって検証する。そのためには、データセットを構築する必要がある。まず、格付会社から信用格付けに関するデータを購入し、格付けを取得した日を特定する。そして、証券市場のデータと組み合わせて、データセットを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の交付金額では格付会社から格付けのデータを購入できなかったため、繰り越しを行った。繰り越した資金と合わせて格付会社からデータを購入する予定である。
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