近年格差分析が社会的にも学術的にも注目されており、こうした分析は家計から企業まで幅広く実施されている。本研究は、従来の研究で十分検証されてこなかった企業の資金制約格差を、上場企業の財務情報をもとに計測し、失われた20年を通じてそうした格差がどのように推移してきたのか明らかにした。本研究の結果は、資金制約格差はこの時期拡大傾向であったこと、格差が産業間要因よりもむしろ同一産業内の企業間要因に帰着できることを示している。以上の結果は、経済政策上も重要なメッセージを持ったものであり、どのような金融政策が効果的であるかを考えるうえで重要なエビデンスになる。
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