研究課題/領域番号 |
17K13769
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
竹内 竜介 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (30607940)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 国際経営史 / 外資系企業 / 海外子会社 / 飲料・食品産業 |
研究実績の概要 |
本研究は飲料・食品企業を対象とした国際関係経営史研究として、主に日本における外資系飲料・食品企業の事業展開の歴史の考察を進めることが目的である。2019年度は、主に次の取り組みを実施した。 (1)本研究を進める上で必要な先行研究の検討。昨年度に引き続き、日本における飲料・食品企業・産業の歴史研究、多国籍飲料・食品企業の歴史研究、多国籍企業の発展に関する理論研究を中心に検討を行ない、研究課題の精緻化を目指した。本年度は、新たに、戦後日本における食文化および食品市場の変容、そこに外資系企業がどのようにかかわってきたのかという視点も交えて、文献検討と調査を試みた。食文化および食品市場の変容という現象は、食文化史の視点のみから論じるだけでなく、外資系企業によるある種の外的インパクトとそのインパクトに応じた日本企業との相互作用により、促進されたことを論じる必要性があることを明確にした。 (2)調査対象企業に関する史料収集とその検討。調査対象企業や競合他社に対する調査(インタビュー、企業博物館訪問をはじめとした情報収集)を実施した。外資系企業が持ち込んだ製品について、①外資系企業および日本企業による競争が生じ、両者間の相互作用が市場発展に大きく影響したこと、②市場内での各社のポジショニングなどについての知見を深めた。 (3)一部対象企業の歴史について、成果物の執筆。シリアル食品企業であるケロッグ社の日本事業の歴史的経緯を明らかにしたものが、近日刊行予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
史料の収集および企業調査に関して、一部企業については訪問や実地調査が困難であったり、史料を保存していなかったりすることが分かった。そのため、一部企業に関しては公刊資料を中心にして調査を進めるなど、柔軟に研究計画を組み立て直している。 また、一部外資系企業を中心とした歴史的経緯については、まもなく公刊される予定であり、一定の成果も出ている。こうしたことから、今のところ、進捗状況についてはおおむね順調と考えられる。 ただし、年度末に予定していた調査等が新型コロナウィルス感染症問題により取りやめとなったため、今後の予定について少し見通しが分からない部分が残されている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の進め方として以下を想定している。 ① 対象とする飲料・食品市場の発展に関する歴史(市場全体の歴史、当該企業の歴史、競合他社の歴史)を明らかにするための史料収集およびその分析に努める。 ② 対象とする外資系飲料・食品企業の歴史を比較分析するための枠組み、および戦後に外資系企業が関わった飲料・食品市場の発展に関する特性を見出すことに努める。 ③ 各外資系飲料・食品市場の発展に関する歴史に関する成果物の刊行に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初調査を予定していた一部企業については訪問や実地調査が困難であったり、史料を保存していなかったりすることが分かったため、出張計画の見直しが必要になった。また今年度末に調査を予定していた各種出張が、新型コロナウィルス感染症問題の影響で、取りやめとなった。そのため、次年度使用が生じている。 次年度使用額は、調査のための出張旅費、関連する文献購入費、備品購入費、インタビュー調査の文字起こし等に用いるよう計画を変更している。
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