研究課題/領域番号 |
17K13774
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
小林 篤史 大阪産業大学, 経済学部, 講師 (40750435)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 東南アジア貿易 / 長期の19世紀 / アジア域内貿易 / 消費財 |
研究実績の概要 |
研究1年目には主にデータベース作成と国際学会での報告、そして国際ジャーナルへの論文掲載という実績を得ることができた。 本研究の新たな視角は、インドの貿易統計を用いて19世紀初頭の東南アジア貿易を検証する点にある。これを実証的に進めるために、インドの貿易統計から東南アジア貿易のデータベースの作成に取り組んだ。具体的には、データベースの作成のために、1800-1825年のインド貿易統計から対東南アジア貿易のデータを抽出し、エクセルファイルに入力する作業を外部業者に委託し、完了させた。この統計データをもとに適切なデータベースのフォーマットをアクセスファイルで作成し、データベースの完成に近づいた。 また、2017年8月にシンガポールで開催された資源環境経済学東アジア学会第7回国際会議において、研究報告を行った。「Development of Resource Exports and Food Supply in Southeast Asia: Historical experience in the 19th century」という報告で、19世紀の東南アジア一次産品輸出の長期的な成長と、中継港であったシンガポールの役割について議論した。この報告に対して多くの有意義なコメントやアドバイスを得ることができ、今後の研究に生かすことができる有意義な学会報告となった。 そして、国際ジャーナルに投稿論文が掲載されたことも大きな実績であった。Economic History Reviewに単著「International Bimetallism and Silver absorption in Singapore, 1840-74」が掲載され、本研究課題にとっては間接的に重要性を持つ東南アジアの輸出成長を支えた通貨システムの形成について実証研究の成果を出版することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目の最大の課題であったデータベースの作成にほぼ見通しが立ったことで、今後の研究が大きく進展することが期待できる。また、国際会議において報告したことで海外の研究者との交流が得られ、今後の国際的な研究プロジェクトへの参加が見込まれる。具体的には、イギリス・リバプールのジョンムーア大学で進められているシンガポール設立200年プロジェクトに、2018年からの参加が決まっている。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は、早急にデータベースを完成させる。そのデータベースをもとに議論を展開し、国際学会で研究報告を行う。具体的には2018年8月にアメリカのボストンで開催される国際経済史会議のセッションで「Changing Consumption and Trade Growth in Southeast Asia, c. 1800-1870」という報告を行う。また、2018年9月にリバプールのジョンムーア大学・海洋史研究所での国際会議で「The Origin of Singapore’s Economic Prosperity, 1800-1870」という報告を行う。そこで得られたフィードバックを取り込んで、研究をさらに発展させる。3年目にはそれまでの研究をもとに国際ジャーナルへの論文投稿を行い、研究成果を出版する。
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