研究実績の概要 |
本研究は、質問票調査を行う予定で、2020年度から2022年度まで研究を延期していた。しかし、新型コロナウィルスの蔓延の影響から、当初予定していた調査はできず、年度内に質問票調査に基づく成果を出すことが難しいことを考え、公刊データの分析に切り替えた。特に海外子会社間の関係すらも、新型コロナウィルスの蔓延によって変化しているため、過去のデータの分析が望ましいと考えた。 具体的には、2020年度に分析していた経済産業省のデータを用いた分析をもとに、東洋経済のデータ、さらに各社の有価証券やアニュアルレポートなどを基にした分析を行った。そこからまず、現地調達と海外子会社のパフォーマンスに関する成果を上梓した(Oki & Kawai, 2022)。当初のような、競争と協調に関する変数を扱うことはできなかったが、海外子会社のパフォーマンスに新たな関係を明らかにすることができた。 また、同様の分析を通じて、電機産業に限定したときに、海外子会社の撤退確率が、現地の海外子会社の数とU字型になる可能性が明らかになった。これは、海外子会社の撤退が、現地の他の子会社との競争によって決まっている可能性を示唆している。この論文を現在執筆中である。一方、協調の変数については、海外子会社の機能の重複、日本人駐在員の数などから変数を作成し、分析しているが、現状協調との交互作用は確認できていない。 本年の成果としては、経済産業省の分析をした研究を一本上梓した。海外子会社間の拠点間競争に関する効果は明らかになったが、拠点間協調との交互作用は確認できていないのが現状である。
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