本研究は、株主の取締役選任議案への議決権行使という最も基本的であるが重要な株主の役割を実証的に分析することをその目的とする。近年、コーポレート・ガバナンスに対する実務的・学術的関心がますます高まる中、これまで国内外において様々な研究が蓄積されてきた。しかしながら、それら既存研究の多くは、コーポレート・ガバナンスにおいて取締役会が果たす役割に注目してきた一方で、コーポレート・ガバナンスにおける株主の役割に関する研究は、相対的に少なく、さらなる知見の蓄積が必要とされている。このような既存研究の間隙を埋めるべく企図される本研究は、株主の取締役選任議案への議決権行使という最も基本的であるが重要な株主の役割をマルチレベルから分析することを通じて、コーポレート・ガバナンスにおける株主の役割に関する理論および実証の両面において既存研究に貢献し、日本における今後のコーポレート・ガバナンス施策に対する示唆を与えることを目指す。 研究実施の最終年となる2020年度は、研究成果の専門学術雑誌への投稿作業の完了に注力した。その結果、2021年7・8月にオンラインで開催される米国経営学会の年次大会(the virtual 81st Annual Meeting of the Academy of Management)での報告に採択された。加えて、本大会における上位10%の論文報告のみに与えられるBest Paperに選ばれ、Proceedings of the 2021 Academy of Management Meetingへの掲載が決まっている。
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