研究課題/領域番号 |
17K13791
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
安田 直樹 東京理科大学, 経営学部経営学科, 講師 (70756981)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 海外子会社 / ネットワーク / 国際化プロセス / 撤退 |
研究実績の概要 |
計画の2年目(平成30度)は、データ分析および執筆を中心に研究を遂行してきた。
データ分析については、第一に海外子会社が置かれているネットワーク構造が当該子会社の撤退にどのような影響を与えるのかを研究質問とする分析を行った。具体的には、海外子会社の輸出入行動に着目して、海外子会社の輸出入行動に基づくネットワーク構造が、当該海外子会社の撤退行動にどのような影響を与えるのかを明らかにした。第二に、多国籍企業の国際化がどのように進展しているのかを海外子会社の輸出入行動に焦点を当てて分析を実施した。具体的には、海外子会社の販売および調達行動が、当該海外子会社の周辺子会社の成長からどのような影響を受けるのかを明らかにした。第三には、海外子会社の撤退理由に着目して、海外子会社の撤退がその後の多国籍企業全体の国際化プロセスに与える影響に関する分析を行った。具体的には、海外子会社の撤退に影響を与える要因は撤退理由によって異なることを明らかにするとともに、リストラクチャリングを理由とする撤退がその後の国際化における資源分配パターンに与える影響を明らかにした。なお、これらの分析と並行して先行研究レビューに基づく仮説導出作業を行うことで、理論と分析の整合性を保つことに努めた。
第一の研究については執筆を完了し国内査読誌への投稿を行った。第二および第三の研究については、アメリカ経営学会(Academy of Management)および国際経営学会(Academy of International Business)にて研究報告を行い、それらのフィードバックを踏まえて執筆作業を進めている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)仮説導出作業について:多国籍企業の国際化プロセスに関して、より広範なレビューが必要である。具体的には、reconfigurationやresource redeploymentの概念について、最新の動向を踏まえたより精緻な文献レビューが必要である。 (2)パネルデータの解析について:すでに暫定的な分析結果を得ていることから、おおむね順調に推移しているが、より精緻な分析が必要となる。具体的には、現在の分析モデルについて、代替的説明の排除を中心としてより高い妥当性を担保するための追加分析が必要である。入手しているデータから追加的にどのような変数を作成することができるのか、先行研究を確認しながらさらなる検討を行う必要がある。 (3)論文執筆について:すでに査読中の論文もあるが、執筆作業は一部遅れが生じていることから、最終年度は執筆に注力する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究を推進する上で、引き続き仮説検証の分析を進めるとともに、より精力的な論文執筆プロセスの推進が必須である。
具体的には、第一に、海外子会社の販売および調達行動と周辺子会社の成長の関係に焦点を当てた国際化プロセスに関する研究の執筆を完了し、2019年度中に海外査読誌に投稿することを目標とする。第二に、海外子会社の撤退理由に焦点を当てた国際化プロセスの研究について執筆を完了し、2019年度中に海外査読誌に投稿することを目標とする。第三に、状況に応じて海外子会社の進出と撤退のダイナミクスに注目する研究を新たに推進していく予定である。これらの分析の過程で、統計的分析の結果の妥当性をより高めるために、インタビュー調査も行うことを計画している。統計的分析を中心にしている本研究においても、分析結果の補完性の観点から、インタビューを通じた調査は重要であると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月の研究協力者の出張精算が次年度に持ち越しとなったこと、および英文校正費について1回分使用できなかったことが主な要因である。なお、英文校正費については最終年度に執筆活動を精力的に進めることで消化する見込みである。
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