研究課題/領域番号 |
17K13794
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小沢 和彦 早稲田大学, 商学学術院, 助教 (30754428)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 組織変革 / モメンタム / 経営組織 |
研究実績の概要 |
計画の初年度(平成29年度)は、主に1.データセットの構築、2.文献サーベイ、3.既存研究の批判的考察と組織変革に関する理論的概念枠組みの構築、4.以上を踏まえての論文執筆と国内学の学会誌への投稿を行った。以下では、1~3を中心にそれぞれを説明したい。 1.データセットについては、特定の産業における数十年にわたるデータの収集や入力及びコード化などを行った。本研究では書物とインターネットの双方から情報を収集しているが、予算を利用することで概ね順調にデータセットを構築できつつある。本研究のパネルデータでは、既存研究に則った方法で組織変革について検討することが可能になる。 2.文献サーベイについては組織変革研究、とりわけモメンタムに関する研究に加えて、心理学の研究、さらには調査対象の理解を深めるための文献を中心に行った。理論面に関しては、心理学的な研究など幅広くサーベイしたこともあり、組織変革を分析する際の概念枠組みを提供するいくつかの文献を新たに発見できた。 3.上記の通り、モメンタムに関する既存研究の批判的考察を行い、組織変革に関する理論的概念枠組みの構築を行った。組織変革研究という多様に展開されてきた分野の中で、モメンタムに関する研究を中心に考察を行っているが、これについて既存研究では相反する主張がみられることを確認した。そして、両者の主張に理論的な問題点・課題がみられることを明らかにした。これらを踏まえて、本年度は理論的概念枠組みの構築・深化を行った。 以上のこれらの一部の成果については論文にまとめ、国内学の学会誌に現在投稿している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、年度初めに策定した研究実施計画をおおよそ満たす形で進んだといえる。具体的には、1.理論的概念枠組みの構築、2.データの収集と独自のデータセットの作成について行ったため、以下ではそれらについて説明したい。 理論的概念枠組みの構築については、(「研究実績の概要」でも述べた通り)文献サーベイについても幅広く行うことができたこともあり、その成果の一部を論文としてまとめることができている。データの収集と独自のデータセットの作成についても概ね順調に行えている。当初の予定通り、早稲田大学の大学院生の協力の基、書籍とウェブ情報の双方を利用してデータセットの構築を進めている。書物の情報とウェブ情報を結合させることに時間を要するが、これについては次年度以降も継続して行う予定である。 なお、平成29年度の一部の研究については既に論文としてまとめているために、その点についても初年度から研究成果を積極的に発表することを試みている。
|
今後の研究の推進方策 |
データセットについては、現状まだ全てのデータが入力されている状況とはいえないため、2年目である平成30年度以降は、まずその構築作業を引き続き行いたい。幸い研究補助者の協力をえることができそうなため、書物の情報とウェブ情報も結合しつつ継続的に行いたい。 また、経営学における国際的な研究を踏まえても、本研究のデータは希少となっているため、その特性を生かして理論的概念枠組みについても更なる修正の余地があると考えている。より精緻な枠組みを構築する一つの方法として、心理学的な研究を取り込むことを考えている。これについては参照できる理論の更なる確認が必要である。その他にも、経営学の(モメンタムに関する既存研究以外の)異なるテーマの研究を基により精緻な枠組みを構築する方法が考えられる。その一つとしてケイパビリティや知識の研究などに注目しているが、これについては更なる検討が必要といえる。 また、データセットの構築が順調に進めば、理論的概念枠組みの検証を進めていきたい。さらに研究成果の一部については学会報告等で、他の研究者との意見交換を進めていきたいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
主として,本年度に予定していたデータセットの整備を部分的に実施できなかったためなどにより残額が生じたものである。次年度には、本年度に計画していた作業を実施できる予定である。
|