2020年度には学会発表を1回行い、論文も1本出版された。 学会発表については、経営戦略学会主催の経営戦略フォーラムで、「戦略的転換・組織変革研究におけるモメンタム仮説」というタイトルの発表を行った。まずこちらについて説明する。 先行研究においては、組織変革や戦略的転換が注目されており、その先行要因の一つとして「過去の組織変革や戦略的転換に関する経験」が注目されてきた。しかし、これらの経験が組織変革や戦略的転換に与える影響については一貫した実証結果がえられていない。伝統的な研究においては過去の経験が今後の組織変革や戦略的転換に正の影響を与えると主張されてきた。しかし比較的近年の研究においては、過去の組織変革や戦略的転換に関する経験が今後の組織変革や戦略的転換に負の影響を与えるという見解もみられる。 本発表では、このような先行研究の概要を示した後に、「過去の組織変革や戦略的転換の経験」が今後の組織変革や戦略的転換に与える影響については、複数のパターンが理論的に考えられる点を示している。そして、これらのパターンの成立条件についても検討を行った。具体的な本発表の成果については、今後論文の形で国際学術雑誌への投稿を目指す。 次に、受理された論文について説明する。こちらも同様に、戦略的転換・組織変革研究におけるモメンタム仮説などに注目している。先行研究の多くは、組織レベルの戦略的転換や組織変革の経験に注目してきた。しかし、マネジャーレベルのこれらの経験についてはあまり注目されていない。このような状況を踏まえて、本論文ではマネジャーレベルの変革経験が今後の組織変革に与える影響に注目し、パネルデータを用いて仮説の検証を行っている。
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