研究課題/領域番号 |
17K13796
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
安武 妙子 創価大学, 経済学部, 准教授 (00737314)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 株主優待 |
研究実績の概要 |
本研究は日本企業の株主について個人、企業、銀行、外国人といった異なる投資家タイプごとの株主数の決定要因と、株主数と株主構成が企業の資本コスト、企業価値、及び株価に及ぼす影響について、その差異や長期的な変遷を明らかにすることを目的としている。 本年度も、株主数の決定要因の一つとして引き続き株主優待に注目し、株主優待の権利落ち日前後での株価変動に注目した研究と、日本の上場企業を対象として行ったアンケートに基づく研究を進めた。株主優待の権利落ち日前後での株価変動に関する研究については、年度前半に海外の学術誌に投稿した。受理とはならなかったものの査読者より有益なコメントを得ることができた。また台湾の国立中央大学でのオンラインセミナーにて共著者のDr. Ghon Rheeより本研究について報告する機会があり、申請者も質疑応答に参加した。参加者からの株主優待制度や分析結果に関するコメントも参考に再度改訂、英文校閲を行った。主な改訂点としては株主優待が日本固有の制度ではなく欧米でも広く実施されている点について具体例を加え、コーポレートファイナンス分野での利益還元に関する研究としての位置づけを明確にした。また本研究での実証分析の結果の一つである物品、サービスなどによる優待の方が金券による優待より権利落ち日の株価下落が大きいという点について、行動経済学のメンタルアカウンティングの視点に関する先行研究との関連付けを追加した。 日本の上場企業を対象として行ったアンケートに基づく研究ついては、個人投資家の投資行動に関する先行研究について追加的なサーベイを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は感染症拡大下における教育活動でのオンライン化対応等に多くの時間を費やすことになったことと、個人的な事情から全体的に研究活動の進捗に遅れが出ることとなり、本プロジェクトの採択期間を1年延長して頂くこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
株主優待の権利落ち日前後での株価変動に関する研究については現在学術誌に投稿中であり、査読結果に応じて改訂、再投稿または他の学術誌への投稿を予定している。また株主優待のアンケートに基づく論文では株式市場における個人株主の役割等に関する知見についてアップデートした上で追加分析を行い学術誌への投稿を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は応募、参加を検討していた海外での学会が感染症流行により中止となり予定していた旅費の支出がなく次年度への繰越が生じた。繰り越した助成金は次年度に英文校閲費、投稿費等として利用する予定である。
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