研究3年目である本年度は、データベースの整備、理論枠組みの精緻化、論文化を行った。研究最終年度であるため、積極的な成果の公表に努めた。 まずデータベースentrepediaを導入して、これまでに整備してきたデータと接合することによって網羅的なデータベースとすることが出来た。entrepediaは、スタートアップの資金調達に関係する網羅的なデータベースである。既存企業がスタートアップに直接投資を行う場合と、既存企業がベンチャーキャピタルに投資をして、ベンチャーキャピタルがスタートアップに投資を行う場合とをそれぞれ区別して整理を行った。その際の既存企業側の担当部門や担当者を紐づけることによって、投資先の傾向をとらえることが出来た。 データベースの構築後に、追加的な事例調査を行うべく聞き取り調査を行った。特に、既存企業の担当者、ベンチャーキャピタルの担当者、スタートアップの担当者からそれぞれ聞き取り調査を行うことによって3者の関係と連携プロセスの内容を確認することが出来た。 オープン・イノベーションにおける組織内連携のプロセスは、技術探索組織と技術活用組織の分業から、両組織の有機的連携という段階に進みつつある。特にスタートアップ投資とそこからの協業においては、スタートアップと技術探索組織と技術活用組織の3者の相互作用プロセスを確認することが出来た。本研究の成果は、研究論文として執筆中のものと、書籍として公表する手続きを進めている。
|