研究実績の概要 |
ICTの進展により,生産活動を取り巻く環境が大きく変化しつつあるのに対して,従来の需要予測手法では,消費者の需要に迅速かつ的確に対応することが難しくなっている。一方, 近年,販売データベースが多くの企業で構築され活用されている。膨大な販売データの中には将来のビジネス展開に役に立つ情報や知見が含まれているため,蓄積されるデータの有効利用を目的とするAI技術等が注目されている。本研究課題は,このような喫緊の課題に対して,AI技術を活用した新しい予測手法を提案するものである。ライフサイクルの短いデリカ新商品の需要数量および需要動向を定量的に予測するために,AIを活用した需要予測法の開発と検証が本研究課題の目的である。 上述の研究目的を達成するために,本年度において,提案する新しい需要予測法は,データの有効活用の観点から,経営活動に与える影響を詳細に検討した。特に,ライフサイクルの短い新商品を扱う企業にとって,AI等の先端情報技術を活用した新しい需要予測法は,適正な資材補充策ならびに需要動向に適応する生産・物流・販売管理に応える上で重要な要因であることが分かる。今後,蓄積された種々のビジネスデータをAI併用シミュレーションによる生産・物流日程計画法の構築,とりわけ現場で運用しやすい新しいスケジューリング法の構築が今後の研究課題にしたい。また,シミュレーション技法によるビジネスデータの活用領域についても,AIを活用したアプローチと比較しながら,さらなる実証研究を進めたい。
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