研究課題/領域番号 |
17K13803
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
宮本 琢也 久留米大学, 商学部, 准教授 (70549683)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | イノベーション / オープン化 / 中小企業 / 経営戦略 / 技術転換 / ネットワーク |
研究実績の概要 |
当該年度は、研究課題にかかわるデータの収集および分析を重点的に行った。その成果については、次年度にいくつかを公表できる予定である。現時点での具体的な取り組みや進捗状況については以下の通りである。 まず、新連携計画など中小企業のネットワークについて、地理的な探索範囲と、研究・開発・販売といった一連のプロセスのどの工程を補完するための連携であるのかといった点に関するデータの収集が終わり、データの分析および考察を通してアウトプットを出す準備が整いつつある。 次に、先行研究では、オープンな取引・連携については、販路開拓や研究開発のスピードアップ、コスト削減などの背景がトリガーになっているとされてきたが、本研究では技術転換期においてもその重要性を確認した。ただし、研究開発段階における共同や連携といった場合、短期的なスポット取引ではなく、ある程度の時間軸を伴った安定的な関係性が求められる。そのため、技術転換などに代表される特殊な状況下においては、技術転換そのものを遅らせる戦略的オプションが求められることがある。この点については、当該年度に国際学会等で成果を公表している。 これに付随して、いくつかの企業の特許データを用いたネットワーク分析によって、共同やオープン化について可視化を試みている。既に、必要となるデータの大半は入手し、現在分析を進めている。同時に、企業同士の連携状況に加えて、特許データに記された発明人による人的なネットワークについても、分析に盛り込むために、理論的な検討を進めている。これらの特許データの分析については、現時点で明らかになっている発見事実を中心に、学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データの収集や分析など、成果の公表にむけての必要な作業プロセスにおいて、特段遅れているものはない。技術転換等の議論については、当初想定していた以上に進んでいると考えられる。一方で、特に特許データについては、その分析に際し、必要に応じて分析対象企業を増やすことも考えられるため、追加的にデータの収集を行う可能性もある。以上の点を総合的に鑑みて、予定通りの進捗状況であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で必要なデータの大半は入手できており、その分析についても堅実に進めており、成果も一部公表している。そのため、大幅な研究方法の変更はない。仮に、追加的に特許データの収集が必要となり時間がかかりそうな場合は、研究の進捗に遅れを出さないように、有料のデータベースなどを使って、データの収集とコーディングの作業を短縮化させることも選択肢として考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
主な原因は、当初計画通り国際学会で発表を行うが、投稿の締め切り等の関係で次年度にずれ込んでしまったのが原因である。 また、当初は現地調査を行う予定だったが、文献や資料等で代用できるなど使用費目の変更が若干あった。そして、成果の公表について、今年度予定して学会報告が遠方の学会ではなく、近距離で開催されたため、旅費がかからなかったなど、間接的な要因がある。 これらを踏まえて、より本研究課題の成果公表の観点から、次年度に予定していた国際学会での報告を増やし、これを踏まえて成果のブラッシュアップにつなげていきたいと考えている。
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