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2021 年度 実績報告書

同族企業の維持・終焉と信頼の関係:医薬品の取引システムとその変容を通じた考察

研究課題

研究課題/領域番号 17K13804
研究機関信州大学

研究代表者

藤野 義和  信州大学, 学術研究院社会科学系, 准教授 (10781403)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード医薬品業 / 医薬品卸業 / 同族企業 / 取引システム / 信頼
研究実績の概要

前年度から始めた調査及び分析を継続し取り組んだ。具体的には、九州地方の卸を対象とし、1990年から2005年までを期間とし、前年に構築したM&Aの状況、社長、仕入先、販売地域、株主等で構成されるデータベースを用いて分析した。目的は医薬品産業で見られた医薬品業を主、医薬品卸を従とする主従関係の維持装置であるとされる商慣習、特に系列化やテリトリー制がどのように変化したのかを調査することにある。
調査の結果、先行研究が示したようにM&Aの進展と共に卸業が巨大化し、販売地域を広域化するという流れが見られた。また1990年に医薬品業が資本参加する卸が数社あったが、2005年には皆無となっていた。よって系列化は形骸化したと言える状況が見られた。先行研究では仕入状況に基づいた系列化も示されている。この定義に従うと2005年であっても複数の系列卸が活動する状況が続いていた。結果を見れば系列化は残っているとなるが、単純に特定の医薬品業からの仕入が多いということなのか、同社の系列なのか判断が難しいく一概に系列が残っているとは判断できないと考えられた。さらにもう一つの商慣習であるテリトリー制については、他地域とは速度が異なるかもしれないが、九州地方の卸であったとしても2005年時にはテリトリー制の慣習は形骸化していると言える状況となっていた。
またファミリーの関与という視点で見れば、1990年には規模の大小、販売地域の広狭を問わずファミリー資本の卸は見過ごすことのできない数存在した。一方、近年に近づくにつれM&Aによって姿を消すものが増えていった。その過程において、九州地方の卸同士が合併し、ファミリーが株式を持ち合うとともに、高位の職位にそれぞれが就き協働し経営活動を実践する卸が見られた。また、成長の規模や速度は劣るが、徐々に広域化しながら現在もファミリービジネスを継続する特異な卸が数社見られた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] わが国の医薬品卸の変遷:九州地方の卸を対象とした1990年から2005年までの調査2022

    • 著者名/発表者名
      藤野義和
    • 雑誌名

      信州大学経法論集

      巻: 13 ページ: 1-12

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公開日: 2022-12-28  

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