研究課題/領域番号 |
17K13809
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
大竹 恒平 東海大学, 情報通信学部, 助教 (10780520)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ソーシャルメディア / マーケティング / 消費者行動 / ビッグデータ / 数理モデル |
研究実績の概要 |
初年度に行った,ソーシャルメディアのマーケティング活動への利用状況や現時点で把握しているソーシャルログイン機能利用者の特徴,ソーシャルメディア情報の活用に関する問題点などについての学術文献のレビュー並びに協力企業とのヒアリングの結果に基づき,平成30年度は消費者行動の類型化を試みた.具体的には,消費者のECサイトへのアクセスログデータを用いた行動変数を作成し,これらの行動変数を用いた,顧客ロイヤルティや再購買を予測することを目的とした評価モデルを作成した.その結果,初回に購買した商品カテゴリや流入チャネル,回遊数により,その後の購買行動が異なることが明らかになった.また,複数の商品カテゴリを横断的にレコメンドすることで,継続購買を促すことができる可能性が示唆された. 加えて,本年度は新たにブログサービスを提供している協力企業より,消費者間の繋がりや相互的なインタラクションに関するデータの提供を受けた.これらのデータに対して,初年度に行ったバースト現象のモデル化の着想を発展させ,他の消費者への影響力の高い消費者(インフルエンサー)の特定並びに,消費者間のネットワーク形成プロセスを考慮した,消費者の成長過程のモデル化に取り組んだ.その結果,消費者ネットワークの成長には時系列に沿った幾つかの段階があり,各段階において成長に必要とされる要因が異なることが明らかになった. 今年度の研究成果は国内査読付き論文誌並びに,フルペーパー公開のある査読付き国際会議において,発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は,新たにブログサービスに関するデータ提供を受け,協力企業とのディスカッションを通じ,ビジネス上の問題点や課題,実務的なニーズが抽出できた.また,前年度に行った消費者行動研究の実分析のレビュー結果を踏まえ,ID-POSデータ,会員データ,アクセスログデータなどの,ECサイトにおける実データを用いたモデルの作成に取り組むことができた.これらの取り組みにより,来年度作成する規範モデルで考量するべき要素が明らかになった.また,協力企業から提供を受けたデータ項目に変更があったものの,その内容についてはおおむね想定通りであり,現在規範モデルの作成に向け,最新のデータを含んで抽出して頂いている.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,平成30年度に作成したモデルにおいて消費者行動への影響が確認された要因に加え,プロモーションやコミュニケーション,価格戦略,計画購買などに影響を与える要因について消費者意識,行動の変化への影響を分析する. また,大規模な実データを用いた,購買プロセスを記述する規範モデルの作成およびその評価に取り組む.これまでのモデルでは,概ね半年~1年間のデータ期間においてモデル作成を行ったが,今年度は長期間のデータを対象としたモデル作成に取り組む.大規模な実データ解析とともに,購買に至るまでの過程のルール策定を行い,モデルの妥当性の評価を行う.また,作成したモデルに含まれるパラメータについて考察・評価を行い,協力企業とのディスカッションを通じて,マーケティング・ミックスの各要素の最適化を目的としたマーケティング施策の提案を行う. これらの研究活動により得られた成果は,国内及び国外査読付き論文並びに,フルペーパー公開のある査読付き国際会議に投稿を行い,随時公開していく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,前年度開催される国際会議への参加を予定していたが,研究成果の内容から,他の国際会議への参加が妥当と判断し参加を見送った.該当分については,今年度開催される国際会議や国内学会での発表に使用する. 人件費・謝金に関しては,前年度は小規模データを対象としたモデル作成に取り組んだため,当初の想定よりもデータクレンジングにかかる時間が少なく済んだ.本年度は大規模データを対象とするため,データクレンジング並びにプログラム補助に該当分を使用する.
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