研究課題/領域番号 |
17K13812
|
研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
橋本 翔 関西学院大学, 理工学部, 助教 (80756700)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 多変量解析 / プリファレンスマップ / SD法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は「複数のユーザが複数の製品を複数の評価項目で判定した」というデータから消費者のニーズをより詳細に探索することである。そのため本研究では,ユーザの潜在クラスタの推定と,クラスタ・評価項目・評価対象のマッピングを同時に行うプリファレンスマッピング技術の開発を目的に,(1)クラスタリングを伴う 3相主成分分析法の研究開発を行い,(2) ユーザクラスタの特徴を表現可能なプリファレンスマッピング法の研究開発を行い,(3)実データを分析することで開発した各手法の現実場面での適用可能性を検証する.というものである。 2018年度は2017年度に開発したクラスタリングを伴う3相主成分分析法について,小規模なテストデータを対象に分析することで提案手法の利用可能性について吟味した。具体的には,抽象的な120個の刺激に対して12人が18項目を用いてその刺激の印象を7段階で評価しているデータを対象とし、クラスタ数を2と定めて分析を行った。その結果、傾向の異なる2つのクラスタが得られた。 次に,クラスタ数の決定法について検討を行った。提案手法がベースとしているkmeans法のクラスタ法の決定には,BICやAICなどの情報量基準を用いたクラスタ数決定が用いられることが多い。また、AICはBICよりも多くのクラスタ数を選ぶという傾向もある。本研究では,消費者のニーズを探索する上で初めに全体を概観できるクラスタを得ることが重要であると考えられるため、本研究ではBIC基準を用いると定めた。 さらにマッピングするために、対象に対する嗜好度を測定する項目を導入した。また、さらに、graphical lassoとgroup lassoを併用することにより、グループごとの嗜好に関連する項目の違いを表現した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度に行うこととして計画していたのは、平成29年度に開発したクラスタリングを伴う3相主成分分析法に基づいて得られたクラスタに対してそれらを、プリファレンスマッピング上に表現するアルゴリズムの開発であった。現在までの進捗として、プリファレンスマッピングに嗜好の情報を表現するために、対象に対する嗜好度を測定する項目を導入した。また、さらに、graphical lassoとgroup lassoを併用することにより、グループごとの嗜好に関連する項目の違いの表現を達成した。これらの結果から、本年度の計画はおおむね順調に進行していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は計画に従い、分析手法を応用することで、各クラスタの特徴を二次元平面上に描画するプリファレンスマッピング技術を研究開発し、その実証評価を行う。本年度は、製品評価データの収集及び分析を行い、分析結果から得られる解釈と既存の知見とを照合し、手法の妥当性を判断する、まずデータを取得するためのアンケートを作成するために、事前のインタビューおよび予備アンケートを行う。このとき最終的に分析の妥当性の判断が行えるよう、対象とする製品ジャンルや使用する評価項目の探索には研究協力企業に協力していただく。次に、年代・性別など、製品に対する既存の知見と照合させうる個人属性項目を含んだアンケートを作成し、調査会社に依頼することで大規模データを取得する。最後に、得られたデータを開発したマッピング手法を用いて分析し、研究協力企業の持つユーザクラスタの既存の知見が開発する手法からも得られることを確認し、本研究の有用性と適用範囲を明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
情報収集のため,研究集会などに積極的に足を運ぶ予定であったが,所属における本務の状況から,当初予定していた研究集会(計算機統計学会・行動計量学会・統計関連学会連合大会など)に参加することができなかったため.本年度では、数理モデルからプリファレンスマップを開発する研究を行うことを計画しているが、予定よりもより積極的に情報収集・学会参加を行う。 また、信頼できる社会調査を実施するために調査費用を従来計画よりも高く見積もる。
|