「複数の消費者が複数の製品を複数の評価項目判定した」というデータから消費者のニーズをより詳細に探索するために,本研究では,消費者クラスタ・評価項目・評価対象の同時マッピングを伴うクラスタリング技術の開発を目的に(1)クラスタリングを伴う3相主成分分析法の研究開発を行い,(2)それぞれにつきユーザクラスタの特徴を表現可能なプリファレンスマッピング法の研究開発を行い,(3)実データを分析することで開発した書く手法の現実場面での適用可能性を検証した。 平成29年度にはクラスタリングを伴う3相主成分分析法の研究開発を行った。具体的には,3相データの構造の数理的性質の調査とデータ発生モデルの開発を行った。まず,一般の3相データ分析法における個人差の表現について調査し,個人差をreduced k-means法と同様な形でグループに統合させる既存手法やその発展形のモデル表現について研究開発を行った。次に,コンピュータ上で疑似データを発生させ,クラス推定の妥当性を検証した。 平成30年度にはクラスタの解釈を支援するプリファレンスマッピング法の研究開発を行った。ここでは3相主成分分析法におけるbis-plotやtri-plotの手法を参考に,クラスタごとの特徴量をマップ上に布置する手法を提案した。また,クラスタごとにマッピングした結果と照らし合わせ,解釈の一致性の確認を行った。 令和元年度には研究協力を予定していたメーカとの調整が難航したためアンケートの実施ができなかったが,令和2年度には,昨年度実施することの出来なかったアンケート調査を実施し,得られた実データに関して提案手法の有効性を検証した。具体的には,先行研究が十分にある文字フォントデータに関する嗜好と印象評価についての主観評価アンケートを実施し,これに対して適応可能性を検証した。全体の成果については今後の学会などで報告する予定である。
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