研究課題/領域番号 |
17K13813
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研究機関 | 亜細亜大学 |
研究代表者 |
平安山 英成 亜細亜大学, 経営学部, 准教授 (10584419)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | マスメディア広告 / アジェンダ設定機能 / スポンサーシップ / 広告効果 / 属性アジェンダ |
研究実績の概要 |
本研究は、マスメディアのアジェンダ設定機能研究の成果をマーケティング領域に援用し、マスメディア広告の新しい役割について検証することを目的としている。 2022年度は、FIFAワールドカップ カタール2022を調査対象とし、マスメディア広告によるアジェンダ設定について検証する予定であったが、後述の理由のため、調査を断念せざるを得なかった。 また、「属性アジェンダ設定」に関する議論を中心に文献レビューを実施した。アジェンダ設定機能の最も基本的な仮説は、「ある環境において、何らかのテーマや話題に関する情報が多くなればなるほど、そのテーマや話題に高関与である受け手は、その情報を重要であると考える」といえるだろう。この仮説は、「対象アジェンダ設定」の特質を端的に述べたものであり、送り手によって強調されることで顕出性が高まった何らかのテーマや話題全体を一言で表す「ラベル」(例えば、オリンピック)が、受け手に転移したか否かにのみ関心があったといえる。一方、「属性アジェンダ設定」とは、質的側面に着目した議論と言える。この議論は、テーマとなる対象が持つ様々な属性のうち、転移した属性は、どの様に送り手から受け手へと伝達され、さらにその受け手は、どの様に当該テーマの意味記憶ネットワークを構成したかに焦点を当てている。 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC(WBC:2023年3月開催)において、マスメディアは、本大会をテーマ設定する際に、ラベルとしての大会そのものを強調するだけではなく、大谷選手やヌートバー選手といった日本代表チームを構成する主要な選手個人(つまり、属性)を強調することで、上手くテーマ設定した格好の事例であると考えられる。そのため、引き続き本大会の分析を行いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本件申請時に予定していなかった学内業務の急増により、昨年度は研究を予定通り進めることができなかった。文献サーベイは、継続して実施していたが、予定していた調査は、業務が最も忙しい時期と重なったため、実施を断念せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、2020年東京五輪の代替として、ラグビーワールドカップフランス大会2023を対象として、マスメディア広告によるアジェンダ設定の調査研究を実施する。また、日本国内でオリンピックを実施・運営に当たった各種運営組織や協力企業へのインタビューを実施する。さらに、アジェンダ設定機能研究を中心として、引き続き文献サーベイを行い、更なる学術的知見を深めたい。 上記の研究成果は、日本経営診断学会や日本消費経済学会をはじめとする学会誌や学部紀要などに論文投稿を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は、予定していた調査を断念したことや、それに伴う人件費が支払われなかったことに起因する。補助事業期間の延長が認可されたため、未使用の資金は、調査対象をラグビーワールドカップフランス大会2023に代替して使用する予定である。
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