研究課題/領域番号 |
17K13814
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
三井 雄一 西南学院大学, 商学部, 准教授 (00782145)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 関連感情・無関連感情 / 感情制御 / 防護動機理論 / 感情シグナル説 / 感情制御理論 / distraction効果 |
研究実績の概要 |
2019年度に実施計画を立てていた生理指標を用いた実験室実験であるが、2020年度に入り、コロナ禍の影響により実験の実施が難しい状況もあり、研究の目的や調査方法について改めて整理する必要が生じた。当初はコロナ禍の影響が落ち着き次第、実験を再開する予定であったが、2020年度前期終了時点でも実験室実験の実施は依然として難しい状況にあった。そこで2020年度では関連感情・無関連感情による影響をさらに感情の種類ごとに分類し、その効果メカニズムの整理を行った。加えて、研究会等での発表を通して様々な指摘をいただき、実験結果の再構築を行った。結果として感情の種類については、比較的強度が強く、持続時間が短い「情動」と、比較的強度が弱く、持続時間が長い「気分」とに分け、それぞれに関連感情または無関連感情として生起した際の情報処理への影響について明らかにした。 具体的には、無関連感情の場合には生じた感情に対して、何等かの認識がなされることにより、情報処理への影響が規定されており、一方で関連感情の場合は、生起する情動や気分によって何等かの心理的・認知的反応をきっかけに被験者の情報処理方略が規定されることが明らかとなった。 2020年度は引き続きコロナ禍の影響下にあり、今後も継続的に影響が出続けることが想定されるため、調査開始当初想定していたインターネットによる調査を前提とした調査モデルを設計し、実施の準備を整えるにとどまったが、最終年度に向けて結果を公表できる体制は整ったと認識している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度には、インターネット調査では把握しきれない感情の時系列変化についてのデータを収集するため、実験室での調査を計画していた。しかし、2019年度末から2020年度にかけてコロナ禍での対応が求められ、実験室における調査実施が現実的に困難な状況に陥った。 再度インターネット調査ができるよう調査設計を再考したが、年度内の実施には至らなかった。 以上のことより、当初の予定よりも大幅に進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に改めて整理した感情の特徴による分類(情動/気分)と認知対象による分類(関連感情/無関連感情)については論文の形で公表する予定である。加えて、上記分類に沿って、感情分類ごとの影響について包括的なモデルの構築に向けてインターネット調査を中心に実証分析を進めていく。具体的には、情動/気分とを区別したうえでそれぞれの無関連感情の状態(ポジティブ/ニュートラル/ネガティブ)な統制群が関連感情(ポジティブ/ニュートラル/ネガティブ)の感情を生じさせる広告刺激に対する態度形成に与える影響について明らかにしていきたい。実証分析の結果についても年度内に論文として公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
最大の理由は2019年度に、調査開始当初に予定していたインターネット調査から実験室調査に変更をしたものの、コロナ禍での実験室調査の実施が現実的に困難であったためである。この点については、引き続きコロナ禍の影響が予測される昨今の状況を鑑みて、再度インターネット調査による調査設計を行う必要が生じた。 2021年度については、実験室調査で利用予定であった予算を用いて、インターネット調査を行い、その結果を公表する計画である。
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