品質コストマネジメントは、トレードオフ関係を理論的な枠組みとして発展してきた。しかし、分析を行うためにトレードオフ関係を使用する際には困難が生じ、自企業の状況に合わせた変更を加えた中での運用を迫られ、品質コストが本来の機能を最大限に発揮できないといった弊害が見られていた。本研究は、これまでの理論的な枠組みを多角的に捉えることで、トレードオフ関係に依拠しない品質コストマネジメントとの並存関係や、品質コストマネジメントの適用段階に際してのアプローチ間の違いやポジショニングを明確にした。これにより、適用時により効果の高いツール運用が可能になりうるという理論的側面からの可能性を示すことができた。
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