研究課題/領域番号 |
17K13817
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
内藤 周子 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (10610181)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 会計学 / 財務会計 / 農業会計 / IFRS / 国際財務報告 / 自然栽培 / 六次産業化 / 公会計 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、農業会計に関する収益の認識・測定に着目し、測定属性の理論形成と財務指標の開発をすることである。 今年度は、財務指標の開発にかかわる研究を論文としてまとめた。 ’’Rice Production and the Natural Farming Movement in Japan : A Study of Farm Management Issues and Approaches’’と題する論文をCarpenter Victorと共同で執筆した。本論文は、2018年10月にAsia-Pacific Management Accounting Association 2018 Annual Conferenceにおいて共同で発表したときに議論した内容を発展させており、コメの自然栽培における農業ビジネスのマネジメント全般にかかわる論述を行なっている。 より具体的には、コメの自然栽培を行う農業者が保守的に収益を認識してマネジメントすることを明らかにしている。つまり、1年以内という短期で収穫でき、比較的に収穫前に販売が確定的な特定の契約があるコメの自然栽培に関する事例であっても、調査からは農業者は現金主義ととらえられうる感覚を有するので、公正価値のような評価属性は現場感覚とは合っていないといえるのである。 さらに、いわゆる六次産業化と呼ばれる生産・加工・販売といった多角的にビジネスを展開する農業者においても保守的であることが聞取調査から得られている。今後は、収穫までに1年より長期に栽培に時間がかかる農業者への聞取調査を中心的に行い、国際的な会計基準の設定にかかわる動向を踏まえた研究を行いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していたよりも、財務指標の開発に必要な財務データが不足しており、研究を精緻に達成することができなかった。また、聞取調査対象との日程に関わる再調整が必要となった。長期的視野をもって農業に取り組む事業者の事例に関する聞取調査を行いたい。以上の理由から、当初の研究計画から見ると本研究課題の進捗状況は「(3)やや遅れている」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは成長までの期間が1年間以内のコメにかかわる農業者に対する聞取調査を行っていたので、今後は、複数の会計年度といった長期的な視点で利益を稼得するビジネスモデルを適用する農業主体に対する聞取調査を行う。また、ジャーナルに論文を掲載されるように努力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
聞取調査対象と日程に関わる再調整が必要となったため、次年度に聞取調査を行うための旅費に使用する計画である。
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