研究課題/領域番号 |
17K13817
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
内藤 周子 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (10610181)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 会計学 / 財務会計 / IFRS / 公会計 / 農業会計 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、農業会計における測定属性の理論形成と財務指標の開発をすることである。 本年度は、財務指標の開発に係る課題に中心的に取り組んだ。「利益情報の分解・集約に関する基盤思考」と題する論文について、2020年12月12日に日本会計研究学会第98回東北部会で報告した。この内容は、IASB (International Accounting Standards Board)が2019年12月に公表した IAS 1 (International Accounting Standards No.1, Presentation of Financial Statements)の公開草案「全般的な表示及び開示(General Presentation and Disclosures)」(以下、公開草案)に係る検討である。基本財務諸表プロジェクト及びより幅広い「財務報告におけるコミュニケーションの改善 (Better Communication in Financial Reporting)」に関する作業の一環として開発したものである。利益情報の集約(aggregation)及び分解(disaggregation)すること、特徴を共有(shared characteristics)している項目を識別して財務報告におけるコミュニケーションの改善を目指したものである。 一般に、財務諸表をシンプルにすることで企業が財務諸表利用者に有用な情報の提供が難しくなるという批判がなされることがある。それは、公正価値に関する情報や、将来情報を用いた企業のリスクといった見積情報などの注記情報が膨大になることを意味する。このような重要な情報の埋没化は、財務諸表利用者に目的適合的な情報を伝達できない要因となりうる。 企業活動を基礎として財務諸表に情報を分解・集約する開示思考を農業会計に応用し、財務指標を開発するために有用な研究を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響により、予定していた調査を行うことができなかったために遅れている。インタビュー調査を行うことを予定していたが、2020年2月以降は、インタビュー調査のための移動を自粛している。このため、資料が入手できていないので、やや遅れていると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要で示した通り、コミュニケーションとしての財務報告を改善する財務情報の理論的な検討を行うことはできている。今後は、農産物の成長過程と経済的実態を踏まえた会計学上の認識・測定について明らかにしたい。これらの財務情報及び非財務情報に関わる課題についてインタビュー調査を進める予定である。財務情報及び非財務情報の利活用に関わる文献の理解を進めるとともに、インタビュー調査を行う予定である。なお、オンラインや電話を利用する等のインタビューの相手と相談しながら調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大による研究計画変更等により、出張ができなかったので、調査の旅費が生じなかった。今年は、現地調査及び学会参加などのために旅費を使用する計画でいる。今後の状況は不透明であるので、インターネットを通じて入手した文献調査や資料整理などにも注力したい。その成果について、研究発表を行う計画でいる。
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