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2017 年度 実施状況報告書

利益平準化に対する従業員および取引先の影響の研究:国際比較および日本企業の分析

研究課題

研究課題/領域番号 17K13822
研究機関神戸大学

研究代表者

藤山 敬史  神戸大学, 経済経営研究所, 講師 (00756463)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード財務会計 / 利益平準化
研究実績の概要

本研究の目的は、日本のデータおよびグローバル・データを用いて、企業の利益平準化の程度に影響を与える要因を分析することである。特に、従業員や顧客/供給者といった利害関係者について検討することである。本年度の研究は主に3つに分類することができる。
第一に、日本の利益平準化がなぜ行われるのかについて文献レビューを行った。特に、1950年代から1970年代における記述的研究および1990年代以降の実証的研究の整理を行った。初期の研究では従業員も利益平準化に影響を与える要因として日本の研究者にも意識されていたが、その後、従業員について意識されることはあまりなくなったことを発見した。一方、配当は初期から近年においても重要な要因としてあげられており、それは実証研究にも反映されている。さらに、国際比較研究においてどのような要因に焦点をあてて利益平準化研究が行われているのかについても整理した。
第二に、日本企業の利益平準化について時系列での推移の分析を行った。1970年代から2010年代の40年間の財務データを用いて分析し、バブル崩壊以降、日本企業が報告する利益の平準化程度は低下し、その傾向は2000年代前半まで続いたことを発見した。さらに、その要因を分析したところ、銀行の持株比率の低下とともに利益平準化の程度が低下していることを発見した。これは先行研究において利益属性が金融システムの影響を受けると主張している点と整合的である。
第三に、顧客・供給者や従業員が利益平準化に与える影響を分析するための情報収集を行った。現在、企業にとって重要な顧客や供給者を特定するためにデータ収集を行っているところである。また、従業員に関する国際比較をするためにデータ収集を行っているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は先行研究を整理し、日本企業の利益平準化程度の時系列推移を分析した。さらに、重要な顧客や供給者に関するデータおよび従業員に関する国際比較データの収集を行った。従業員に関する国際比較データの分析において部分的に遅れはあるものの、全体としてはほぼ計画通りである。なお、日本企業の利益平準化程度の時系列推移の分析については計画以上に進展している。

今後の研究の推進方策

今後は、第一に、日本企業の時系列分析に関する論文を学会等にて発表し広く研究を発信していく。また、研究会等での発表を通じてブラッシュアップしていく。また、検証をより頑健なものにするよう、さまざまな角度から追加的な分析を行う。
第二に、重要な顧客・供給者に関する分析、および、従業員に関する国際比較研究に関して、データ収集の段階から進展させ、分析を行う予定である。また、論文として形にしていく予方針である。

次年度使用額が生じた理由

他の資金源等から購入したデータを用いることができたため、使用額が今年度において予定を下回った。また、英文校正費に使用予定であったが、共著者の協力等により使用額が予定を下回った。

研究成果

(2件)

すべて 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [国際共同研究] シドニー大学(オーストラリア)

    • 国名
      オーストラリア
    • 外国機関名
      シドニー大学
  • [雑誌論文] 日本企業による利益平準化2018

    • 著者名/発表者名
      藤山敬史、古賀裕也
    • 雑誌名

      国民経済雑誌

      巻: 217 (3) ページ: 57~81

    • オープンアクセス

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公開日: 2018-12-17  

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