研究課題/領域番号 |
17K13823
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
妹尾 剛好 中央大学, 商学部, 准教授 (60610201)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 管理会計 / 予算管理 / マネジメント・コントロール・システム / 予算修正 |
研究実績の概要 |
日本企業では一般的に、当初予算を期中に修正している。この点について、近年、予算修正の負の影響を示唆する研究が増えてきている。しかし、先行研究には予算修正の詳細なプロセスが必ずしも明らかではない、目的に応じた複数の効果を想定していないという限界がある。そこで、本研究では質的研究と量的研究を組み合わせた混合研究法により、次の2つの研究目的の達成を目指す。第1に、日本企業の予算修正の決定要因、時期、関与する主体、方法の詳細を記述する。第2に、①計画機能の向上、②組織学習の促進、③マネジャーの手続き公正の向上という、目的ごとに想定される日本企業の予算修正の効果の有無を明らかにする。 本年度は最終的に質的研究と量的研究を組み合わせた混合研究法を行う前提として、過去に実施した質問票調査の結果を用いて、共同研究として、予算期間と予算修正の方法が企業の財務業績に与える影響を分析した。この研究成果の一部は、雑誌論文として報告した。また、別の過去に実施した質問票調査の結果を用いて、共同研究として、リスクマネジメントとマネジメント・コントロール・システム(MCS)の結びつきが企業の財務業績に与える影響も分析した。このリスクマネジメントとMCSの結びつきは、予算修正の効果を考察するにあたり、大きな示唆を与えた。この研究成果の一部は、学会発表として報告した。 この2つの過去の質問票調査の分析によって、本研究に関する重要な構成概念の明確化と妥当な測定尺度の開発が、かなりの程度進捗した。現在、これらに基づき、1社を対象とした、フィールド研究を引き続き実施中である。そして、必ずしも予算修正のみに限ったわけではないが、これらの測定尺度を一部含んだ質問票調査も共同研究として実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去の質問票調査の分析によって、重要な構成概念の明確化と妥当な測定尺度の開発は、当初の研究目的を達成するために、順調に進捗した。それに基づき、予算修正に限定したものではないが、質問票調査も共同研究として実施した。ただし、昨年度同様、フィールド研究の調査対象が現状では1社であり、当初予定していた数よりも少ないことは対応すべき課題である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度同様、現状ではフィールド研究の調査対象が少ないことが課題である。そのため、今後は可能な限り多くの企業に調査依頼を行う。また、仮に調査対象が増えなかった場合を考え、混合研究法の中で、量的研究に重点を置いた分析を行うことも検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
フィールド研究の調査対象が増えなかったので、調査依頼をさらにかけ、当初予定していた旅費を次年度計上する計画を立てている。
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