研究実績の概要 |
平成29年度は,(1)本研究で提示する技法をモデル化するとともに,(2)関係性マーケティングに関わる先行研究サーベイを行うことを取り組み課題として挙げた。 (1)のモデル化は,さらに4つのステップに分かれる。すなわち,ⅰ)バスタブ・モデルについての数学的検討,ⅱ)収益会計におけるマルコフ連鎖の検討,ⅲ)レズリー行列についての検討,ⅳ)これらの検討結果の統合と新しい予測モデルの構築である。i)については,バスタブ・モデルを数学的に検討し,2つの論文を執筆することができた(Matsuoka, K. (2018). Variance Analysis in Fixed Revenue Accounting および Matsuoka, K. (2018). Bathtub Model Variance Analysis at a Japanese Hotel Chain. どちらも次の書籍に所収。Suzuki, K., Ishii, H., & Gurd, B. (Eds.) (2018). Fixed Revenue Accounting: A New Management Accounting Framework, Singapore :World Scientific.)。 ii)およびiii)については,収益会計におけるマルコフ連鎖およびレズリー行列にもとづいて顧客の獲得,維持,拡大によってもたらされる現在価値を計算する方法を考案した。その成果はアジア太平洋管理会計学会(APMAA)の2017年度年次大会のプロシーディングスに査読付きで掲載された(Matsuoka, K., (2018, November 7). Evolving Markov Chain Model in Revenue Accounting. Paper presented at the 2017 Annual Conference of APMAA)。また,2017年度 第2回 日本組織会計学会研究会でも,「収益会計におけるマルコフ過程と顧客生涯価値」というタイトルで報告を行った。 (2)の先行研究サーベイは,着実に文献を読み進めているが,形ある研究成果まではまだ至っていない。
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