研究課題
最終年度(2019年度)には、以下の3つの実績を残すことができた。まず、2020年アジア太平洋管理会計学会 年次大会での学会報告およびプロシーディングスへの論文掲載である。ここでは、ホテル業から取得したデータを用いて、本研究で開発したマルコフ連鎖モデルに基づいて、顧客エクイティを推定した。また、同モデルを用いて、感度分析、モンテカルロ・シミュレーション、および差異分析を行った。分析を通して、本研究で開発したモデルが顧客獲得、維持、および拡大に関わる意思決定に利用できることを示した。次に、顧客エクイティの差異分析の論文を欧米の査読誌へ投稿した。本論文では、差異分析を、顧客エクイティという将来志向の尺度に対して適応することで、短期的な財務業績を偏重する行動を抑制できる可能性を示した。最初はある有力な欧米の管理会計雑誌に投稿したが、顧客エクイティの推定モデルを重視する本論文は同誌のスコープに当てはまらないとの理由でエディターキックとなった。一部修正の上、同論文は経営系の有力雑誌に投稿した。査読中のため雑誌名は伏せるが、エディターチェックと1回目の査読は通過し、2回目の査読に向けて修正中である。掲載決定までは進められなかったが、一定の進捗を果たすことができた。最後に、本研究の2年目に投稿を行った論文の査読対応を行い、アクセプトされた。雑誌はJournal of Management Control、タイトルは“Exploring the interface between management accounting and marketing: A review of customer accounting”である。この論文では、顧客データを活用する概念として収益会計、顧客収益性分析、顧客生涯価値および顧客エクイティを取り上げ、文献レビューに基づいてそれらの比較考察を行った。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Journal of Management Control
巻: 31 ページ: -
10.1007/s00187-020-00299-9
Proceedings of APMAA 15th Annual Conference (USB)
巻: Paper ID 167 ページ: 1-19