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2017 年度 実施状況報告書

ダイバーシティと売上高,費用,利益との関係におけるメカニズムの検証

研究課題

研究課題/領域番号 17K13826
研究機関茨城大学

研究代表者

細田 雅洋  茨城大学, 人文社会科学部, 講師 (50733888)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワードダイバーシティ / インクルージョン / 退職意向 / 退職コスト / CSRアソシエーション / 顧客満足 / 信頼 / ロイヤルティ
研究実績の概要

本研究では,CSRの遂行を促進するために,CSRと売上高,費用,利益との関係を明らかにする。具体的には,日本企業でCSRの重要課題として挙げられているダイバーシティ(女性の活用や障害者雇用)と売上高・費用・利益との関係におけるメカニズムをリサーチサイトから得られたデータを用いた分析にもとづく事例研究を通じて明らかにすることを目的としている。
本年度は2つのことに取り組んだ。まず,ダイバーシティをはじめとするCSRに対する顧客の認知と利益との関係におけるメカニズムを明らかにするために分析モデルを構築し,リサーチサイトであるホテル業A社の顧客アンケートのデータと取引データを共分散構造分析で検証するに至った。分析モデルでは,これまで想定していた顧客満足とロイヤルティに加え,信頼が重要な変数であることが明らかになったため,信頼を分析モデルに加えることとした。さらに売上高に変えて,顧客別の限界利益額を算出し,分析モデルに加えることとした。これにより顧客のCSRに対する認知と利益との関係におけるメカニズムを明らかにするまでに至った。
次に,従業員のダイバーシティをはじめとするCSRの認知と退職意向との関係に関わる先行研究レビューを通じて,分析モデルを構築した。その結果,両者の関係におけるメカニズムを明らかにするためには,インクルージョン,コミットメント,信頼,エンゲージメントが重要な変数であることが明らかとなった。加えて,退職コストに関わる先行研究をレビューし,ホテル業において退職コストをどのように算出すべきか知見を得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

おおむね順調に進展している理由は以下の状況にあることが挙げられる。
リサーチサイトである国内ホテルチェーンA社では,顧客満足度調査と従業員満足度調査を実施しており,毎年度,解析に必要となる基礎的データを収集している。そのことを通じて,研究を進めるうえで必要な必要なデータが得られている。加えて,顧客別の限界利益額の計算をすることができた。以上を踏まえ,顧客のダイバーシティに対する認知と利益との関係におけるメカニズムを明らかにするために分析モデルを構築し,検証するに至った。
加えて,従業員のダイバーシティマネジメントの認知と退職意向との関係に関わる先行研究レビューを通じて,分析モデルを構築し,両者の関係におけるメカニズムを明らかにするためのモデルを構築し,分析に取り組んでいる状況である。従業員のダイバーシティに対する認知をはじめCSRに対する従業員の認知と退職コストとの関係を明らかにするにあたって,インクルージョンとエンゲージメントを分析モデルに加えるまでに至った。
一方で,進展していない計画がある。まず,ダイバーシティが従業員と顧客に認知されることにより売上高,費用,利益にどのような効果があるのかに関する実態を明らかにするために,「ダイバーシティ経営企業100選」に選出された企業を対象にインタビュー調査を実施する予定であったが,インタビュー調査を実施することができていない状況にする。加えて,従業員のダイバーシティの認知と退職コストとの関係を明らかにするために,退職コストが重要となるが,先行研究レビューを通じて,退職コストの算定に必要な知見が得られたものの,算定に必要なデータの整理が完了していない状況にある。

今後の研究の推進方策

進展していない課題に対して次にように取り組んでいく。まず,「ダイバーシティ経営企業100選」に選出された企業を対象にインタビュー調査を実施することに関しては,調査を実施できるよう,企業に依頼を進めていく予定である。
次に,退職コストの算定に必要な先行研究の追加的なレビューが必要であることと,データの整理ができていないことから,従業員のダイバーシティの認知と財務業績との関係を明らかにすることができない状況である。そこで,退職コストの算定に必要な追加的な先行研究レビューとデータの整理をしていくこととする。
進展している取り組みについては以下のように進めていく。顧客のダイバーシティに対する認知と利益との関係におけるメカニズムに関する研究に関しては,論文化を図り,国際カンファレンスでの報告に臨む。さらに,従業員のダイバーシティマネジメントの認知と退職意向との関係についても論文化を図り,国際カンファレンスでの報告に臨む。現時点で報告を検討している国際カンファレンスとしては,8th Annual Australasian Business Ethics Network (ABEN) Conference 2018 および32nd Annual Australian and New Zealand Academy of Management (ANZAM)である。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額の主な理由は2つある。まず,リサーチサイトであるホテル業A社とのミーティングには参加を重ねることができている一方で,「ダイバーシティ経営企業100選」に選出された企業を対象とするインタビュー調査を実施できなかった。その分,旅費の支出が当初より少なくなったことから,次年度使用額が生じた。次に,退職コストに関連するデータの整理が未着手であるため,人件費・謝金が支出されていないことが,次年度使用額が生じた理由として挙げられる。
以上を踏まえ,インタビュー調査を実施することを通じて旅費を,研究協力者(明治大学大学院経営学研究科鈴木研一研究室)の協力を得ながら,データを整理することを通じて人件費・謝金を使用していく。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 2017

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Perceived Diversity Management and Turnover Intentions2018

    • 著者名/発表者名
      早川美優・豊崎仁美・細田雅洋
    • 学会等名
      国際戦略経営研究学会 戦略財務・会計研究会
  • [学会発表] A Research Design to Investigate the Relation between CSR and the Cost of Turnover2017

    • 著者名/発表者名
      豊崎仁美・細田雅洋・早川美優
    • 学会等名
      国際戦略経営研究学会 戦略財務・会計研究会

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公開日: 2018-12-17  

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