研究課題/領域番号 |
17K13834
|
研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
井上 秀一 追手門学院大学, 経営学部, 講師 (00785909)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 管理会計システム / ミドルマネジメント / 医療機関 / 吸収役 / 双方向の窓 / 会計化 |
研究実績の概要 |
本研究は、医療機関の管理会計システムにおけるミドルマネジメントによる調整行動について、インタビューや参与観察を主としたケーススタディを実施し、その調整プロセスについて明らかにするものである。 2年目に該当する当年度は、昨年度構築した理論的フレームワークを洗練させた上で、ある地域の中核医療機関のトップマネジメントに対し、病院の全体像を把握することを目的としてインタビュー調査を実施した。調査による発見事項の概要は下記のとおりである。 (1)患者の社会復帰を第一と考え、それを実現するためには、急性期から在宅の現場までの一連の流れについて、各施設が連携を取りながらそれぞれの役割を果たしていくことが求められる。トップマネジメントは、理念、ビジョン、方針、そして思いを職員1人1人に伝えるが、その目的は医療や経営の理想と現実のギャップを埋めることにある。 (2)管理会計システムは、医療専門職をはじめとした職員に対し、経営に関する意識をもたせるという意味で有効なシステムである。しかし、診療科の特性によって、プラスになりやすいものもあれば、反対にマイナスとなりやすいものもあるため、職員の努力によってその結果が産まれているのかどうかについて正確に判断することは難しい。 (3)会計情報を単に示すだけでは効果がない。会計情報と活動を結びつけ、目標を達成するためにどのように行動すればよいのかというところまで現場が検討し、実際に行動に移すことができてはじめて効果がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究進捗は計画通りである。2年目に該当する当年度は、理論的フレームワークの洗練を行いながら、ある地域の中核医療機関に対しインタビュー調査を行い、病院の全体像の把握を行った。次年度は病院のミドルマネジメント層に対する聞き取り調査を行い、管理会計システムの活用と組織内調整行動について検討を行う。
|
今後の研究の推進方策 |
計画どおりの進捗であるが、現在調査を行っている2つの医療機関に対して、会議の定点観察を行うなど、さらなるin-depthの調査が実施できるよう調査協力者と連携を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
3,088円の次年度使用額は、物品費に関して購入予定の文献を計画時よりも安く購入することができたために生じた有利差異であるが、この金額については、翌年度の文献購入費に充当する。
|