本研究の成果は以下の三点に集約できる。 (1)ミドルマネジメントは,現場への会計的な圧力によって現場の本来の姿が歪められてしまうことを防ぐために吸収役の役割を果たす。この場合,管理会計システムと現場の活動はルース・カップリングあるいはディカップリングの状態で維持される。(2)業績悪化をトリガーとして,ミドルマネジメントは吸収役を維持できなくなり,双方向の窓の役割に切り替わる。この場合,管理会計システムと現場の活動の連動が図られる。(3)各診療科別の損益データをはじめとした粒度の細かいデータをタイムリーに現場に提供することでミドルマネジメントの役割が吸収役から双方向の窓に切り替わる可能性がある。
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