最終年度は、前年度に取得した文献データの解析結果および実験で取得したデータの分析結果を学会にて報告し、論文を執筆した。 文献データの解析については、1) 会計学に関する社会的ジレンマ研究では、監査論・管理会計という分野において実験経済学という手法がもちいられていること、2) 先行研究では社会的ジレンマに関する実験は公共財ゲームをアレンジした実験で検証されることが多いこと、が明らかになった。すなわち、監査論の分野において公共財ゲームをもちいた実験を行なうことは、先行研究を拡張できる可能性があることを示唆している。この結果は、日本会計研究学会にて報告した。 また、実験で取得したデータの分析結果については、社会的ジレンマの基礎である囚人のジレンマのゲームでは、高校生、短期大学生、大学生で結果に差がないことが明らかになった。これは、実験参加者によって意思決定に差がないことを示している。そして、社会的ジレンマのゲームでは、フリーライダーの存在が確認された。これは、罰や報奨などの制度を導入する必要性を示している。この結果は、American Accounting Associationにて報告した。学会報告後は、指摘されたコメントをもとに論文の執筆および改訂を行なった。 なお、本研究は当初、ラボ実験のみを予定していたが、テクノロジーの進展によりオンライン実験が可能になったことから、部分的にオンライン実験を実施している。今後の研究の展開として、オンライン実験をもちいた会計研究が期待できる。
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