研究課題/領域番号 |
17K13838
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研究機関 | 岩手保健医療大学 |
研究代表者 |
大井 慈郎 岩手保健医療大学, 看護学部, 講師 (10757959)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 東南アジア都市化 / 都市社会学 / 人口移動 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、インドネシアの首都圏における非正規労働者の地域と階層移動パターンの分析から、東南アジア首都の人口移動メカニズムを解明することにある。本研究では、インドネシア首都ジャカルタを事例に、2010年代よりインドネシアの労働問題の中心となっている非正規労働者に着目する。 具体的な調査内容としては、第一に、昨年度インドネシア国土庁より開示を受けたジャカルタ首都圏各市・県の土地利用についてのGISデータの分析を行い、調査地の村を選定を行った。それを受け、5月にインドネシアにて現地視察を行い、調査協力を取り付けた。この際、正確な村と連合町内会の地図がなかったため、GPSを用いて、現地にて地図データを作成した。 第二に、9月にインドネシアにて、5月に地図データを作成した村から2つの連合町内会を選定し、プレジデント大学のA.M.B. Witono教授協力のもと、学生のべ40人とともに戸別訪問調査を実施した。研究計画段階では、高級ニュータウン地区があった場合はそれも含めた3つの連合町内会としていたが、調査地には該当地区がなかったため、2つとした。それに合わせて、調査票回収数は402となった。 調査票回収後は、個人情報保護の観点から、全ての調査票を日本に持ち帰り、データの入力、クリーニング、集計作業を進めている。選択回答については所属大学の日本人学生とともに、2月までに行った。自由回答については、後日インドネシア人留学生とともに行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度、調査許可及び在留資格ルール改正に伴い、半年ほど予定スケジュールが遅れていたが、5月に現地視察と調査を実施し、計画した進捗に戻すことができた。9月に予定していた現地での調査も滞りなく完了した。これによって本年度末時点までの達成目標であった、調査地の選定、戸別訪問調査実施、選択項目の入力作業までを、行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き住民の移動調査より、非正規労働者の地域と階層移動パターンの一般化を試みる。 2019年度は、昨年度実施した戸別訪問調査データの分析を行う。並行し、予定していた現地での量的調査を、現地企業調査協力者の人事異動と、割り当て予算削減に伴い、調査計画を変更する。 第一に、現地の大学と協力し、行政が新しく収集を開始した住民票を移動していない労働者データの開示を行い、地域移動の実態を分析する。現地でのランダムサンプリングの困難性から現在までのデータでは、傾向の把握について限界があった。それを補完するデータの取得と分析を目的とする。 第二に、量的調査に加え、質的調査を組み合わせる。前年度の量的調査実施地区にて、工場労働者への地域・階層移動経歴に関するインタビューを実施し、詳細な分析を行う。 第三に、ヒューマンリソース会社に対して、現地情報のヒアリングを行う。近年東南アジア諸国にて賃金の大幅な上昇が起きているが、こうしたマクロ要因を検討し、分析に組み込むことが可能となる。
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