本研究では、ハローワークや友人・知人の紹介を利用することで正規雇用になりやすいことや、壮年女性において短期勤続層と長期勤続層に二極化する傾向が見られること、正社員での就業継続を重視する企業や、同じ仕事を継続させる企業で収入の低下が抑制されていることなどの知見を、ミクロデータを用いた経験的研究から明らかにした。また入職経路の分析に求められる方法論的課題や効率性・公平性の観点から社会ネットワークや公共職業紹介を検討していく端緒を開いた。こうした研究成果には、労働研究の分野における事実発見という学術的意義に加えて、日本の労働市場をより公平で効率的にすることに貢献するという社会的意義があると考える。
|