研究課題/領域番号 |
17K13843
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
澤井 努 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (50769817)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 幹細胞 / iPS細胞 / 生命倫理 / 人-動物キメラ胚 / 人工配偶子 / オルガノイド / ゲノム編集 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ヒトiPS細胞研究に伴う倫理的問題を検討することによって、当該研究の在り方を示唆することにある。本研究では、ヒトiPS細胞研究の倫理的問題の中でも特に、近年、国の審議会等で議論されている「ヒトiPS細胞等に由来する人工配偶子を用いた研究」と「ヒト臓器の作製を目的とした人-動物キメラ胚を用いた研究」に焦点を当てた。またこうした研究に関連する技術として、例えば、オルガノイド技術やゲノム編集技術も射程に入れている。ちなみにこうした研究は、生命、家族、生殖などに関する従来の価値観を大きく変容させる可能性があるだけに、国内外において倫理的問題への対応が急がれている。 平成29年度は、上記の研究および技術の倫理的問題に関して、文献調査による先行研究の把握を行い、具体的にどのような問題が生じうるのかを明らかにした。近年、国外において上記の研究・技術に関する倫理的問題を扱った議論は散見されるが、国内においては2011年以降、ほとんど議論が行われていない。こうした議論状況の中で、平成29年度は、人工配偶子研究、人-動物キメラ胚研究、オルガノイド研究の倫理的問題に関して、口頭発表を国内外の学会で行うとともに、論文を国内の書籍や雑誌等に寄稿し、掲載された。 なお平成29年12月には、英国オックスフォード大学を訪問し、上記の領域で研究を行っている哲学者・倫理学者とその時点での研究成果を基に議論を行った。そこで得た助言やコメントを踏まえ、本研究の軌道修正を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた計画通りに研究を進めることができており、口頭発表や論文・書籍等を通して時宜を得た成果発表を行うことができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、ヒトiPS細胞研究に伴う倫理的問題に関して先行研究の把握を継続するとともに、論点整理を通して浮上した個別の論点に関して考察を深め、論文投稿の準備を進める。また同年9月以降に、英国オックスフォード大学ウエヒロ応用倫理研究センターで在外研究を行う予定である。同センター滞在中は、執筆中・投稿前の論文に対して助言・コメントを受け、内容を洗練させた上で準備が整ったものから順次、論文投稿を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
年度末に予定していた書籍購入の一部が不要になったため。
|