研究課題/領域番号 |
17K13849
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
石井 由香理 上智大学, 総合人間科学部, 助教 (90788431)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ジェンダー / セクシュアリティ / リスク |
研究実績の概要 |
今年度に関しては、これまで行ってきた研究の成果についてまとめることが主になる。研究代表者はこれまで、関西大学の宮田りりぃ氏とともに、関西エリアで女装者と女装者愛好男性にインタビューをして、考察を進めてきた。すでに刊行された論文もあるが、現在、女装者や女装者愛好男性の生きづらさとして成果を新たに英語論文として執筆中である。インタビューで得られた知見は示唆に富むものであり、先行研究では、こうした人たちの生きづらさについてはほとんど顧みられることがなかった。本研究は、かれらが直面している問題について具体的に明らかにしたものであり、なぜかれらの抱える問題が、問題として浮上しないのかについて、その構造を明らかにしたものである。論文についてはこれから投稿をすることになるが、順調にいけば、近いうちに成果が国際学会誌に掲載されることになるのではないかと考えている。本調査で得られた考察は、例えば、MSM(men who have sex with men)向けのHIV/AIDsなどの予防啓発に対しても新たな示唆を与えるものである。ゲイや、トランスジェンダーといった、LGBTに含まれないセクシュアル・マイノリティがどのようなリスクや困難性を抱えているか、それがなぜ、どのように、かれらの語りの中で、社会的な問題ではなく、私事化していくのかを明らかにした点で、本研究には意義があり、また、社会的なサポートを考えていくための材料を提供できているものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要でも書いた通り、今年度に関しては、調査をまとめる段階にあり、それゆえ、すでに材料がそろったものについて考察していく段階にあるため、研究の進捗状況としてはおおむね順調に推移しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の本研究の推進方策としては、得られたデータを整理し、結果考察を導き出して論文を執筆することであり、また、そうして執筆した論文の投稿を目指す。ここで得られた結果は、国際的にも意義のあるものと考えているため、投稿先として、査読付きの国際的な学術雑誌への掲載を目指すこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に近い時期に行った英文校正の費用がどのくらいかかるか具体的に分からなかったため、余裕を持たせて経費を使用しなかったため、この差額が発生した。文献や資料の購入費用に充てたい。
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