本研究は、ドイツにおけるローカル・レベルにおける移民統合の実態がいかなるものであるのかを、主としてトルコ系移民の活動を事例にして明らかにしたものである。本研究では、移民組織は一般的に出身国とのトランスナショナルな関係性、紐帯を有する一方で、ムスリムとマジョリティ社会との橋渡しの在り方、統合の実践の在り方がそれぞれの移民組織の統合に対する考え方、ドイツ社会に対する考え方などによってどのように異なるのかを実証的に明らかにした。とりわけ、そうした相違点は従来の研究で示されたような組織の政治的立ち位置、イデオロギー的な立場だけではなく、組織の中の世代間の相違によっても明らかに異なる点を示した。
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