本研究は、文化的要因である〈男らしさ規範〉に着目し、日本の男性が抱える〈男性であること〉の規範的意識とその実態を、日米豪の比較研究から明らかにするものである。最終年度にあたる今年度は、残念ながら前年度に引き続きコロナ禍により海外出張が禁止・自粛が続いた状態であり、海外調査の実施には至らなかった。そのため、とくに5年目に整理をした資料データに基づき、研究成果の発表・公刊に努めた。当初の国際比較の視点は薄くなったが、国内の動向を中心に成果をまとめる方向で研究を進めた。 とくに今年度は、本研究課題に関連する史料の収集と整理を行いながら、研究計画に基づき、以下の課題を遂行することができた。 (1)本科研調査の知見も援用しながら、関東社会学会『年報社会学論集』(35)に「理論という実践」を掲載することができた。(2)学会発表は、(a)NWECフォーラム2022「男女共同参画推進フォーラム」 にて、「出生前診断を経た後期中絶と男性――生殖補助技術が促す男性の当事者化とその争点」(2022年12月17日)、(b)第95回日本社会学会大会(シンポジウム:生殖補助技術と多様化する親密性のデザイン――親密性を再定義する実践の検討)にて、「生殖補助技術がもたらす男性の当事者化――男性不妊と選択的中絶をめぐる論点と争点」(2022年11月13日)、(c)国際ジェンダー学会にて、「選択的中絶と男性をめぐる論点と争点」を行った。 上記のとおり、研究実績として論文1本、学会報告3回と、研究成果を刊行・報告することができている。
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