研究課題/領域番号 |
17K13860
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
畑山 直子 早稲田大学, 文学学術院, その他(招聘研究員) (10732688)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 農山村移住 / 地域移動 / ライフコース / 生活史 / 地域おこし / 移住促進事業 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、農山村移住者のライフコース分析を通じて、後期近代における再帰的な地域移動を実証的に明らかにすることである。具体的には、埼玉県秩父地域、山梨県中北地域、長野県松本地域の3地域で、農山村移住者を対象にしたインテンシブなライフコース調査を実施し、農山村移住者のライフコース・パターンを析出するとともに、彼らのライフコースにおける移住の意味づけを明らかにしていく。 平成29年度は、埼玉県秩父地域(秩父市、横瀬町、長瀞町、皆野町、小鹿野町の1市4町)において平成29年度以前に実施した農山村移住者生活史調査のデータを整理し、本研究におけるライフコース調査の下地を作ることを目指した。具体的な研究内容は、以下3点である。 第一に、平成29年度以前に実施済みの生活史調査について、5名分の生活史データを分析するとともに、ライフコース整理表を用いてライフコース・パターンの析出を試みた。 第二に、秩父地域で地域おこし協力隊を経験した方1名と関係構築をはかった。秩父地域では、地域おこし協力隊を経験した方の多くが、任期終了後も地域内にとどまり、新たに職を得て生活をしている。今回お会いした方もその一人であり、農山村移住者の一つのライフコース・パターンとして今後分析を展開していく。 第三に、埼玉県秩父地域における最新の移住者受け入れ体制を把握するために、平成29年4月に開設された「秩父市移住相談センター」の取り組みを整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成29年度は、本研究におけるライフコース調査の下地を作るために、埼玉県秩父地域において同一移住者の追跡調査と、山梨県中北地域ならびに長野県松本地域において視察を行う予定であったが、調査時期と出産が重なったため、すべての調査および視察を取りやめることになった。そのため、平成29年度に予定していた調査体制の構築を完了することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に実施することができなかった埼玉県秩父地域における同一移住者の追跡調査を平成30年9月頃から開始し、ライフコース調査の調査項目を検討する。加えて平成29年度に関係構築をはかった元地域おこし協力隊の方にも生活史調査を実施し、あわせて新たな調査対象者を紹介していただけるよう協力を依頼する。 また、山梨県中北地域(甲府市、甲斐市、中央市、昭和町、北杜市、韮崎市、南アルプス市:6市1町)と長野県松本地域(松本市、塩尻市、安曇野市、筑北村、麻績村、生坂村、山形村、朝日村:3市5村)において、平成30年10月から地域内の視察を行う。その際、各市町村の地域政策課等にアプローチし、移住状況をヒアリングするとともに、調査対象者の紹介を含めた調査体制を構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に計画していた埼玉県秩父地域における同一移住者の追跡調査と、山梨県中北地域ならびに長野県松本地域における視察をすべて取りやめたため、国内旅費として支出予定だった額を次年度へと持ち越すことになった。 平成30年度は、3地域での調査ならびに視察を精力的に実施する予定であるため、国内旅費として50万円を計画している。そのほかでは、調査地域でビジュアル記録を収集するためのカメラや地域資料の購入を予定しており、用品費と消耗品費をあわせて30万円ほどを計画している。
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