研究課題/領域番号 |
17K13860
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
畑山 直子 日本大学, 文理学部, 研究員 (10732688)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 農山村移住 / 地域移動 / ライフコース / 生活史 / 地域おこし / 移住促進事業 / 関係人口 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、農山村移住者のライフコース分析を通じて、後期近代における再帰的な地域移動を実証的に明らかにすることである。具体的には、埼玉県秩父地域と長野県松本地域の2地域で、農山村移住者を対象にしたインテンシブなライフコース調査を実施し、農山村移住者のライフコース・パターンを析出するとともに、彼らのライフコースにおける移住の意味づけを明らかにしていく。 令和2年度は、埼玉県秩父地域(秩父市、横瀬町、長瀞町、皆野町、小鹿野町の1市4町)において令和元年度までに実施した農山村移住者生活史調査のデータ分析を進めた。特に、移住前と移住後の労働観の変化や、ライフスタイルを確立していく過程に着目し、移住者のライフコースにおいて、移住の選択がいかなる意味を持つのかを検討した。 さらに、コロナ禍ではあったが、「秩父市移住相談センター」の担当職員に対して聞き取り調査を実施することができた。移住の受け入れに関する自治体(秩父地域1市4町)の役割の変化と、移住者にとどまらず「関係人口」の増加に関する取り組みについて情報を整理した。本研究に着手した当初と比較すると、これまでは民間が主導していた「ちちぶ空き家バンク」が移住者受け入れの最前線に立っていたが、この1、2年で各自治体がそれぞれ独自の移住関連の窓口を持つようになり、秩父地域における移住の実態が変化していることを指摘できる。また、移住者の増加をダイレクトに目指す政策ではなく、関係人口を広く受け入れるような取り組みを行うことが、地域全体の活性化につながるという方針に舵を切りつつある様子もうかがえた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度は、埼玉県秩父地域における農山村移住者生活史調査のデータ分析を進め、自治体関係者にも聞き取り調査を実施することができたことから、秩父地域の調査は比較的進んだ。その一方で、長野県に足を運ぶことができず、今後の見通しも立っていない状況である。秩父地域での調査を完遂することを目的に、現在調査内容の見直しと対応を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
埼玉県秩父地域での調査・分析を完遂することを目指す。そのために、移住受け入れの体制の変化の詳細な分析と、農山村移住者を対象にした生活史調査のフォローアップを行う。特に、移住者の受け入れに関わる関係者への再度のヒアリングを実施し、組織の役割の変化に加え、移住者受け入れの実績についても評価を行っていく。さらに、秩父地域1市4町の各自治体のうち、小鹿野町ならびに横瀬町の行政の担当者と地域おこし協力隊に対して聞き取り調査を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度に予定していた長野県での調査を実施できなかったため、国内旅費を中心に、次年度使用額が生じた。令和3年度は、秩父地域1市4町での調査を精力的に実施する予定である。
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