高齢者のメディア利用についての研究の多くが、社会や他者とつながろうとする動機が彼らのメディア利用を促進していると主張し、メディア利用と「幸福な老い」にポジティブな関係があることを示唆してきた。本研究は「利用と満足研究」の視点に基づき、シニア層のメディア効用と「幸福な老い」との関係を明らかにするものである。 東京近郊で実施した調査(n=1644)の結果、ほとんどのメディア効用はモラールに寄与しておらず、とりわけテレビの消費的効用とモラールは一貫してネガティブな関係にあることが示された。また、リタイア者のメディア効用が非リタイア者に比べて「幸福な老い」に大きく寄与している証拠も見出せなかった。
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