2019年度の研究実績は主に(1)映像研究の新しい方法論の展開、(2)研究成果展の実施に分けることができる。それぞれの詳細については以下の通りである。 (1)映像研究の新しい方法論の展開 まず、昨年度までに進めてきた横断的な映像研究の方法論の検討については、2019年8月4日に東京経済大学で行われたシンポジウム「メディア・スタディーズにおけるモノとデータ:『スクリーン・スタディーズ』を読む」において、その後の展開について報告を行った。また具体的な歴史研究の方法については、伊藤守編『ポストメディア・セオリー』(ミネルヴァ書房、近刊予定)に論文「メディア考古学:ポストメディア理論のための3つのアプローチ」を、また現代の映像文化の事例研究については、新倉貴仁・近藤和都・梅田拓也編『技術と文化のメディア論』(ナカニシヤ出版、近刊予定)に論文「舞台演出と映像技術:スクリーンの物質性と空間の編成」をそれぞれ寄稿した。 (2)研究成果展の実施 さらに、こうした映像研究の新しい方法論とこれまでの映像文化史の研究成果を踏まえ、メディア技術による事実性や視覚情報の伝達の変化、映像技術の歴史的変遷を扱った研究成果展を2020年2月22日から3月1日まで根津のギャラリーマルヒにおいて開催した。こうした研究成果展の試みにより、これまでの研究プロジェクトの成果を、学術論文や書籍だけにとどまらず、より広く公開することが可能になった。
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