本研究の意義は二点ある。一つは、親の介護未経験の就業者が、介護が始まった際の「仕事と介護の両立」に必要な資源をどの程度持っているかを示すことで、就業者が介護をしながら働き続けることを支える施策について考えるための基礎情報を提供している点である。もう一つは、介護離職リスクが高い層は必ずしも支援制度の知識が少ないわけでもなく、また、職場内のサポートが得られにくいわけでもないことを示すことで、制度に関する情報の周知や職場のサポート体制づくりを促す啓発を中心としたこれまでの施策の有効性を議論することができた点である。
|