2000年代以降,地方自治体は生活保護受給者,生活困窮者,就業困難者らを対象とする就労支援政策を実施してきた.そのような政策の「効果」とは何か,それをどのように把握し評価するのか,という点は重要な政策課題である.しかし,就労支援の成果を実証的に分析・解明しようとする研究は,これまで十分には行われていなかった.そこで本研究は,先駆的な就労支援事業を実施している大阪府を対象として量的調査と質的調査を踏まえて政策の効果を多角的に検証した.調査データに基づいた検討の結果,自治体間に生じている支援実績の差異は,自治体及び支援事業を支えている各種団体の関係によって異なりうることが明らかとなった.
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