公営住宅の入居者は外形的には自治会を通じて組織化されているものの,自らの意志で参加を見合わせる入居者が多数存在するために活動のなり手が不足しがちであり,参加している者の中には,他の入居者とのトラブルを避けようと形式的な参加にとどめようとする者がいるため,コミュニティが形成されにくい傾向がある。こうした実態を踏まえれば,専門的支援(コミュニティワーク)を実践する体制を構築し,入居者間の不信感の低減および周辺住民との交流を実現することが地域福祉実践の課題になる。具体的には,周辺住民との交流に対する動機づけや団地内外の住民の組織化,「居住福祉資源」としての公営住宅の活用といった実践が求められる。
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