研究課題/領域番号 |
17K13876
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研究機関 | 釧路公立大学 |
研究代表者 |
大澤 理沙 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (70633957)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 介護サービス / アクセシビリティ / GIS / 地域差 / 市町村 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、医療施設、介護施設・事業所の位置や人口の分布を表す地理空間データを用いて、地理的アクセスと介護サービスの地域差との関係を実証的に明らかにすることである。当該年度においては、地理的アクセスが介護サービスの地域差に与える影響を、介護サービスの種類に着目して分析した。 高齢化の進展に伴う介護費用の増大や財政的・人的制約を背景に、介護保険制度においては一部施設介護サービスの対象者を限定する一方で、地域包括ケアシステムのもと「住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」な体制の構築が保険者に求められている。これまでの研究から、介護サービスの利用においてはサービスを提供する事業所などへの地理的アクセスが利用に影響していることが示唆されており、在宅介護サービスと施設介護サービスとの関係についても、こうした地理的な要因を考慮したうえで捉える必要がある。そこで本研究では地理情報システム(GIS: Geographic Information System)を用いて、在宅介護サービスのアクセシビリティが施設介護サービスの利用に与える影響を分析した。分析の結果、第1に、在宅サービスが近くにある地域ほど、介護老人福祉施設の利用が少ないことが明らかとなった。これは、介護保険制度において介護老人福祉施設が要介護高齢者のための生活施設と位置付けられていることから、在宅サービスと代替的な関係にあるためと考えられる。第2に、在宅サービスが近くにある地域ほど、介護老人保健施設および介護療養型医療施設の利用が多いことが示された。これは、介護老人保健施設および介護療養型医療施設では医療サービスが提供されるなど在宅サービスと異なる性質を持つためであると考えらえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度に行うことを計画していた、保険者別のパネルデータを用いた地理的アクセスと介護サービス利用の地域差に関する分析において、介護サービス施設・事業所の所在地の過去のデータの制約により遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
保険者別のパネルデータを用いた地理的アクセスと介護サービス利用の地域差に関する分析において、対象とする期間を2期間とし新たなモデルを構築した上で分析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたの理由は、当該年度に想定していたデータ購入を翌年度に見送ったためである。また翌年度分として請求した助成金は、主にデータの購入と学会報告や研究会報告をを行うための国内旅費・国外旅費として使用する。
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